米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.30 ;2018年4月21日探訪 デューク・エリントン編 Harlem

Ellington – Nutcracker Suite
Gomez – Latin Jazz Suite for Trumpet and Orchestra*
Schoenfield – Four Parables
Ellington – Harlem

Toledo Symphony Orchestra conducted by Sara Jobin
Natasha Paremski, piano
Lauraine Carpenter, trumpet

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今回はトレド響によるシンフォニックジャズ特集になる。特にEllingtonの楽曲を2曲配し、Classical Ellingtonと題している。Ellingtonに関しては、Anatomy Of A Murder 、Assault On A Queen等 の映画に音楽を提供しており、純粋な彼のジャズ音楽ファンのみならず、ファンサントラファンとしても興味あるところである。当方は、ジャズと管弦楽による劇音楽を絶妙に融合させた表現が好みで、クインシージョーンズ、ジェリーフィールディング、ラロシフリン、ロイバッド、デーブグルーシン等々のジャズ畑出の映画音楽作曲家もしくは、アレックスノース等ジャズ表現を得意とする映画音楽作曲家群を好んで鑑賞してきた。ジャズのクールな表現がサスペンス表現にフィットするところから、比較的アクション、サスペンスの劇伴音楽に多用される事は承知の事である。Ellingtonの映画音楽に関しては、ジャズ要素が95%以上で管弦楽による劇音楽効果は少ないと感じてきた。ジャズで名を成した、本流の巨匠ゆえ、これも仕方がない。ちょうど、ラベルに映画音楽作曲の依頼があったとき、逆に、映像を音楽に合わせろと要求した逸話を連想させる。それでも、時折、劇音楽との微妙な融合を感じ取れる部分がある事は事実である。以上がコンサート前に抱いてきた印象であるが、今回のコンサートで少し考えが変わった。ジャズ表現の楽器を加えてはいるものの、楽曲を演奏するのは、紛れも無い交響楽団(トレド響)で音響効果の良いコンサートホールでの演奏体験は、これまでの鑑賞とは違った印象を得る事ができた。さて演奏である。

一番の目玉はHarlemである。当日プログラムによると、この楽曲は、名指揮者トスカニーニが1950年、NBC交響楽団のために、ニューヨークを表現する一連の新曲演奏の企画を立てた中の一つで、Ellingtonにはハーレムを表現する音楽の作曲依頼があって誕生した様である。興味深い話である。ジャズ表現が主体ではあるものの、時折見せる弦楽との絡みは、コンサートホール効果もあって、ゴージャス感、クール感を存分に楽しめた。

 もう1曲は、なんと Nutcracker のジャズ編曲版である。クラシック曲が完全にビックバンドジャズに変貌していた。当日のプログラムによると、この曲に関しては、発表当時はバンドメンバーからも疑問視する声があった様だ。当方の個人的印象も同様である。自分的には、このような編曲作品よりもEllingtonのオリジナルの作曲の方が興味を持てる。自分的には、管弦楽要素が多い、New World A Comin や Three black kings あたりが演奏されれば最高であったと感じる。

残り2曲は、米国の現代作曲家による、やはりジャズと管弦楽の融合を主題にした作品。Gomezの作品は、今回世界初演との事で、演奏後、作曲家が舞台上に登場し喝采を浴びていた。彼女はサンアントニオ響のレジデントコンポーサーでラテン、アフリカンおよびネーティブアメリカンの音楽から着想を得た作品を得意としている様である。Latin Jazz Suite はLatin Jazz をベースとしたトランペット協奏曲で聴きやすい作風。ラロシフリンもラテン音楽の影響を受けた協奏曲作品群や映画音楽の録音を残しており、それらとの類似性を感じた。Schoenfieldの作品は弦楽主体の抽象表現が突然、乗りの良いJazzに変化するもので、意図的な作曲とは理解できるが、自分的には、斬新感よりも唐突感、不自然感が残った。Classical Ellingtonと銘打ったのであるから、全曲Ellington作品で統一した方が良かったのでは?と、個人的には感じた。

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コンサートホール入り口       ユニークな作りのホール

 

VOL.29 ;2018年4月7日探訪 ラベル編 Daphnis and Chloe 全曲

Ravel  Daphnis and Chloe (Complete)

                 Others

Chicago symphony orchestra and chorus conducted by Matthias Pintscher

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バレー音楽は当方好みのエリアで、イメージと共存する意味で、映画音楽に共通するところがある。中でも、当該楽曲はラベル作品の中でも、心地よいイメージを掻き立てるため、一番の好みの曲である、音楽単独で鑑賞しても、イマジネーションでダフニスとクロエ独特の世界が想像できてしまう。しかし、自分的には、ストーリーやバレー云々よりも、Chicago symphony および100名を上回るchorusによる、幻想的かつ優美な当該曲の響きには本当に癒された。特にコンサートホールでの癒しの効果は格別だと痛感した。実際、コンサート終了後の爽快感、疲労回復感は、絶大である。そういった意味でこの曲はバレー音楽の枠を超えた魅力があるのだと思う。ところで、当日のプログラムによると、ラベル自身がゲスト指揮者としてシカゴ響で自身の作品(ダフニスとクロエ組曲含む)を1928年に指揮した記録が記載されていた。まさに、今自分が居るコンサートホールで、この出来事があった事は、真に感慨深い。

 

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 入り口にて

VOL.28 ;2018年3月3日探訪 レナード バーンスタイン編その3  ウエストサイド ストーリー コンサートバージョン 全曲 West side story in concert

Leonard Bernstein : West Side Story in Concert (Complete)

Battle Creek Symphony conducted by Anne Harrigan

Jessica Soza,Maria

Clyde Alves ,Tony

Others

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Vol. 10 でWest Side Story のシネコンサートの探訪を実施したが、今回はウエストサイドストーリーのコンサートバージョン全曲演奏会になる。当該曲の組曲はすでに定番演奏曲であるが、コンサートバージョンの全曲演奏会は従来無い。3月3日に近接して日本を含む各地で同曲の演奏会が計画されていたようであるが、当日指揮者からの説明では、バトルクリーク響が世界初演(3月3日現在)と言及していた記憶がある。シネコンサートでのクリーブランド響に比べると、マイナーの小編成オーケストラになるが、オーケストラ生演奏でウエストサイドストーリーを全曲楽しめる事はすばらしい。シネコンサートでは映像に注意が集中するが、今回の形式は舞台上で歌唱するオペラスタイルでオーケストラとソロイストの演奏、歌唱を、じっくり楽しめた。この点がブロードウエイバージョン、シネコンサートバージョンとの違いになる。ソロイストたちはブロードウエイ、演劇、シビックオペラ等から起用しているが、ダンスがないので、やや物足りない感じがしたが、演劇的パフォーマンスは十分楽しめたし、迫力あるシンフォニックジャズの演奏は爽快である。わざわざニューヨークにまで出向かなくても、ローカルのコミュニティーオーケストラで、この様にレベルの高い芸術を鑑賞できる事は音楽愛好家にとって、恵まれた環境であると痛感する。今年はバーンスタイン生誕100年で全米各地で彼の楽曲が頻繁に演奏される様でファンにとっては楽しみな年になる。

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コンサートホール入り口にて

VOL.27 ;2018年2月16日探訪 プロコフィエフ編その4   シンデレラ 全曲

Sergei Prokofiev : Cinderella (Complete )

Ballet West

Ballet West Orchestra conducted by Tara Simoncic

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前号で予告したように、ソルトレイク シティーでの探訪第2弾はプロコフィエフのバレー音楽シンデレラになる。プロコフィエフは当方好みの作曲家であることから、これまでも、VOL.8デトロイト響(バレー組曲;ロミオとジュリエット)VOL.5シカゴ響(オラトリオ イワン雷帝)VOL.3 デイトンフィル(映画音楽 アレキサンダー ネフスキー 全曲)で探訪を実施したが、今回はバレー団専属のオーケストラによる演奏になる。自分的にはバレーを楽しむ事よりも、めったに演奏の機会にめぐり合えない、シンデレラ全曲の音楽鑑賞が主目的になる。ロミオとジュリエットの組曲は頻繁に演奏会で取り上げられるが、シンデレラ全曲は演奏会では(組曲でもめったに無い)、まず取り上げられない。しかしながら、音楽は秀逸で、全3幕2時間を越える演奏は、豪華絢爛、きらびやかなファンタジーの世界を楽しめる所が理屈抜きに魅力的。バレー音楽ではあるが、タイムリミット12時に迫る描写に付けられた劇音楽の効果が、すばらしい。映画音楽でも手腕を発揮してきた、プロコフィエフの真骨頂と、毎回鑑賞するたびに感動する次第である。今回オーケストラはピットに入った小編成で、大きな音響効果は望めないが、それでも生演奏全曲を体験できる事は本当に貴重で、ありがたい。振り付けにあわせて、演奏速度は遅めであるが、しっかりした演奏を楽しめた。バレー公演では、音楽に録音を使用する事が多い中、Ballet Westはソルトレークシティーに本拠を置き、継続的に公演を専属のオケを使ってこなしている。真に贅沢ではあるが、生きた瞬間芸術における、オーケストラの重要性をよく理解しているのであろう。当日のプログラムによると、バレー振り付けに関してはRoyal ballet の Frederic Ashton 版に準じ、Ballet Westが全米で2番目の団体との事。悪役2姉妹の演技には、男性ダンサーにより、コメディー要素を含むアドリブが随所に織り込まれエンターテイメントを融合させるのは、米国のバレーならでは、と言えるだろう。

 

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 コンサートホール入り口にて

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オーケストラピット

 

VOL.26 ;2018年2月17日探訪 ディミトリー ティオムキン編 その2 真昼の決闘(全曲)世界初演 Film in Concert: High Noon

Tiomkin:High Noon Film in concert (complete)

Utah Symphony conducted by Gray Covington

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今回は、ティオムキンの”真昼の決闘”全曲のシネコンサートで,米国西部在オーケストラによるコンサートとなる。いくつかの点から、サントラファンとして、さらにテイオムキンファンとしては、注目度大のイベントになる故、探訪に踏み切った。まず第一に、本曲に関しては、当方知る限り、オリジナルサントラ及び小組曲の新録音CDはリリースされていたが、全曲新録音は存在せず、長尺で高音質の音楽は楽しめず、今回初めて、コンサートホールでのオーケストラ生演奏を全曲鑑賞できる機会に恵まれることになる。昨年2017年 プラハ市フィル、ニックレイン指揮による白昼の決闘”DUEL  IN THE SUN" の新録がTADLOWよりリリースされ、ティオムキンによる西部劇音楽が再注目されたことが記憶に新しい。プラハ市フィル、ニックレインのコンビは,これまでもティオムキンの新録作品をいくつか取り上げて取り上げており、親ティオムキン派と言えるだろう。このように、昨年今年とテイオムキンの西部劇音に関するイベントが続くとは、ファンにとってはありがたいことである。ところで、ティオムキンの西部劇作品の新録と言えば、過去にエルマーバーンスタイン指揮ロイヤルフィルによる、ハリウッド作曲家群の新録音シリーズ中の1枚にあった、”OK牧場の決闘”が当方にとって、最初の出会い出であり、この作品から、きわめて強烈なインパクトを受けた記憶がある。ドスの効いたボーカルに、迫力あるティオムキンの西部劇音が格調高き英国のオーケストラから奏でられる事など、当時有り得ない事であったからだ。バーンスタインが尽力して完成させた、この新録音プロジェクトは、サントラファンにとって、極めて重要なイベントであったと確信している。その心意気が、今回の”白昼の決闘”新録音、そして今回の真昼の決闘シネコンサートに継承されている様に感じる。第二点としては、今回のコンサートは、Utah Museum of Fine Arts (UMFA) が企画するGo West! Art of the American Frontier なる,ユタ州内の地域イベントの1つとして、このコンサート(楽曲)が取り上げられた様である。実質の演奏プロディースは ,以前にも言及したJhon Gobermanであることが、当日のプログラム解説で判明した。彼の取り扱う楽曲は、通好みの渋い選曲が多く、大衆性は低いが芸術性は高い作品が多い。ポピュラーな作品で集客に的を絞った、他シネコンサート団体とは、明らかに異なるし、当方好みの作品が多い。したがって、今回のコンサートも極めて特殊で、繰り返し演奏会が計画される可能性は低いと思われる。従って、探訪の価値有りと考えた。第三点は今回の演奏がUtah Symphonyであることである。サントラファンなら1度はこのオーケストラの名前を聞いたことがあるのではないかと思う。今でこそ、サントラの新録音は前述のプラハ市フィルを中心とする、ロシア、東欧勢が主流になっているが、以前は米国内でも頻繁実施されており、ユタ響においては、エルマーバースタインによるジョンウェインの西部劇作品新録音他に頻繁に起用されていたからである。このオーケストラと西部劇音楽は関係が深いのである。曲は異なるが、かつてレコード盤で繰り返し鑑賞したオケの演奏を、コンサートホールで実体験できることは感慨深い。皮肉な事に、プラハ市フィルに”白昼の決闘”で世界初新録音の機会を奪われた、老舗オーケストラが、生コンサートで”真昼の決闘”を世界初演するとは、まるで、プラハ市フィルにリベンジ(決闘?)を打ったようで真に面白い。サントラファンとしては、ユタ響が、どのような演奏するのか興味深い。西部劇の本場、アメリカ西部のオーケストラによる西部劇音楽の生演奏である。さて、演奏である。残念ながら、アカデミーを受賞した有名なテーマソングは、生歌唱では無く、サントラのボーカルが流用されており、オーケストラ伴奏部分のみ生演奏。劇中、効果的に流れるハーモニカはシンセで代用されていた。しかしながら、本編でのオーケストラ演奏を体験すると、その様な事はどうでも良い事が理解できる。特に、決闘開始時間12時に迫る緊迫シーンから、決闘および馬小屋の火災から終幕までの一気呵成の音楽に驚嘆した。この部分のために、探訪しても良いぐらいで、アカデミーを受賞した理由の1つと感じられる。映画もしくはCDで一連の流れは体験済みではあるが、コンサートホールで体験する、ティオムキン節がこれほど効果的であるとは、想像ができなかった。特に、この場面は台詞が無く音楽に全て語らせているので、その効果はコンサートホールでは格別である。ユタ響の演奏にも迫力が感じられ、西部物演奏の本家による面目躍如たる演奏といえるだろう。演奏時間は休憩なしの1時間30分弱と短時間ではあったが、内容の濃い演奏会であった。今回はソルトレークシティー在ユタ響を探訪することが主目的ではあったが、偶然、このコンサート前日、同じくソルトレーク在のバレー団(WEST BALLET) による、プロコフィエフのシンデレラ全曲、バレーコンサート(付属オーケストラによる生演奏)探訪の機会を得る事ができたので、次号で言及する。

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ホール入り口   ホール近くに、ソルトレイク名物テンプルが位置する

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Go West! Art of the American Frontier 宣伝 および ホールの様子

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会場の雰囲気

VOL.25 ;2008年10月31日探訪 フランツ ワックスマン編 フランケンシュタインの花嫁(全曲)世界初演

Franz Waxman: The Bride of Frankenstein (Complete)

World premier concert performance

Chicago symphony orchestra conducted by Richard Kaufman

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前号で言及した様に、今回はワックスマンの作品に関する、過去のコンサートについて記録を残す。コンサートは2008年10月31日、シカゴ響によるシネコンサートで、作品はBride of Frankenstein(1935)。コンサートでの全曲演奏はその日が世界初演になる。その当時、シネコンサートに関する知名度はそれほど高くなかったが、会場は満員であったと記憶する。指揮は、現在、米国のシネコンサートで超活躍中のRichard Kaufmanであった。本曲はワックスマン作品群中でも、ユニークな作品であり、前述Vol.24記載コンサートでの演奏曲Sunset Boulevardよりも古い作品ではあるが、1930年代のホラー作品として有名な一連のフランケンシュタインシリーズ第二弾作になる。これまで、チャールズ ゲルハルトおよびケネス オルウイン指揮等による新録音盤がリリースされており、音楽的にも面白い企画である。個人的は、シネコンサート形式の演奏会には、このコンサートが始めての経験であった為、長年聞き込んだ映画音楽が、シカゴ響でどのように演奏されるのか興味津々であった記憶がある。近年はワックスマン作品のシネコンサートが無く残念であるが、彼の作品には、前号で紹介したSunset Boulevard初め,A Place In The Sun, Rebecca等の往年の名作が多く存在し、今後まだまだ企画される可能性はあると考えられる。さて、演奏である。かなり過去の事ではあるが、大画面に映し出された、フランケンシュタインの映像とシカゴ響の演奏は、白黒大画面による初期ホラー画像とともに、今も、強烈な印象を残している。本作の新録音がリリースされた後、1990年代には、その後のフランケンシュタイン作品の音楽を担当した、ハンスサルター、フランク スキナーによる、続編の新録音が相継いで、ストロンバーグ指揮モスクワ響他により、リリースされたのは興味深い。

ワックスマンのサントラといえば、彼の映画音楽集の新録音を企画した、息子のジョン ワックスマンがこのコンサート企画に参加しており、休憩時、ロビーで聴衆たちと歓談できる機会が設けられていた。その時、幸運にも、当方も言葉を交わすことができた。彼に関しては、70年代から収集してきたサントラ、特にワックスマン作品の新録音盤に彼の名前がクレジットされており、興味を抱いてきた。従って、この機会に実際に本人に面会できたのは、貴重な経験であった。 その時、すばらしい映画音楽芸術の新録音活動に関して大いに感謝を表し、今後の更なる新録音活動を、お願いをした記憶がある。その時、彼は、一般にリリースされていない著名映画音楽作曲家の作品群には、表舞台に出すべき作品が多くあると述べていた事が印象に残っている。そして、その言葉どうり、現在 Theme & Variations の代表として、映画音楽作品群のスコアー管理、演奏会のプロモートに尽力されている様で、サントラファンとしてはありがたい。

本作The Bride of Frankensteinのシネマコンサートが、その後再演された事は、当方知る限りないし、ワックスマンの本格的、長尺管弦楽作品をコンサートホールで、しかもシカゴ響で鑑賞できる機会もほとんど無いかと思われる。

VOL.24 ;2018年1月13日探訪 ジェリー ゴールドスミス編 ”猿の惑星”組曲および“海流の中の島々”組曲 その他 

Goldsmith: Suite from "Islands in the Stream"

Goldsmith: Suite from "Planet of the Apes"

Tiomkin: Suite from "Big Sky"

Waxman: Suite from "Sunset Boulevard"

Rozsa: Suite from "Ben-Hur"

Others

Indianapolis Symphony Orchestra   conducted by Justin Freer

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今回は、映画音楽コンサートの探訪になる。映画音楽コンサートは概して、主題の曲の寄せ集め、ごった煮的ポップスコンサートになる傾向があり、通常は敬遠しているのであるが、今回は、好みの作曲家群の組曲が全部で5作品まとめて取り上げられており、単なるポップスコンサートではないと判断し探訪に踏み切った。管弦楽はインディアナポリス響、指揮はシネコンサートに、たびたび登場するジャスティン フリーアー。今回、第一の目玉は久々にゴールドスミス作品の組曲が2作品鑑賞できることである。今回のコンサートで演奏される全12曲中4曲はゴールドスミスの作品となっており、その中で、組曲として、“猿の惑星”組曲、および“海流の中の島々”組曲が取り上げられている。これらの組曲は、すでにゴールドスミス自身指揮のコンサートで公開済みで新規性はないが、いずれもコンサートホールでの演奏に耐えうる質の高い組曲で十分探訪に値すると考えている。

当日のプログラムによると、フリーア―はゴールドスミスに師事した経験がある様で、このため、ゴールドスミスの作品が多く採用されていると推定している。このコンサートでは、オーケストラ後方のステージ席の購入が可能である為、パーカッション群近くに陣取って観察を決めた。何故なら、ゴールドスミスの楽曲、特に猿の惑星では、パーカッションの使い方が独特で、これらの斬新な響きが、本曲の魅力である為である。真近くで見ると奏者の動きが巧妙ではあるが、かなり緊張した動きをしており、難曲であることが、理解できる。これは、フリーア―自身も演奏直前解説で述べていた事である。これだけ近傍で、この組曲を、しかもコンサートホールで鑑賞できる機会も少ないと考える。次に“海流の中の島々”組曲である。この組曲も演奏される機会は多くなく貴重である。自分的には、ゴールドスミス自身の指揮した新録LPを発売当初から愛聴してきた、好みの曲の1つで、期待が膨らむ。コンサートホールでの響きは格別で、コンサート用管弦楽作品として、十分鑑賞に値する品格が感じ取れた。組曲内で演奏されるピアノ旋律が、いかにもゴールドスミス的リリシズムを有し、好きな部分であるが、今回近傍で、そのピアノ演奏をじっくり観察でき、オーケストラ背後の席も悪くないと感じた。

次の目玉はティオムキンの“果てしなき蒼空”組曲である。この組曲は70年代リリースされた、ゲルハルト指揮ナショナルフィルの新録シリーズ中、ティオムキン編に取り上げられていた曲で、想い出深い曲である。演奏された組曲は、それと同一で、今、コンサートホールで鑑賞できたことは、真に感慨深い。

さらに、ワックスマンも好みの作曲家であるが、残念ながら、コンサートで演奏される楽曲はそれほど多くなく、管弦楽作品"カルメン幻想曲"が頻繁に取上げられる程度で、映画音楽が取り上げられることも、それほど多くない。したがって、今回“サンセット大通り”組曲が演奏される事は有難い。この曲も、ゲルハルト指揮ナショナルフィルの新録シリーズ中、ワックスマン編で始めて紹介されて依頼、魅了されてきた楽曲である。ゴールドスミスが自身のコンサートで取上げた事も理解できるし、弟子のフリーア―が、それに従った理由も十分理解できる。やはりコンサートホールで鑑賞する、本曲、特にサロメ引用の大団円は感動的である。ワックスマンの映画音楽組曲で、過去に探訪し印象に残っている作品として、ボストンポップスによるタングルウッド音楽祭において、ジョンウイリアムスが“陽のあたる場所”組曲を指揮しており、この演奏もよかった。さらに、興味深いことに、ワックスマン初期作品によるシネコンサート(フランケンシュタインの花嫁)が、シカゴ響により、かなり以前にすでに実施されており、当方、探訪している。これらの探訪記ついては次号に別記する。

最後の目玉はローザの“ベンハー”組曲である。有名曲であり、演奏され尽くしている感があるが、ローザ自身の新録盤をはじめ、繰り返し新録音が企画される曲である。最近では、プラハ市響の完全版の新録音がリリースされ、根強い人気曲である。当方としては、コンサートホールでの本曲鑑賞が今回が初めてになる。コンサートホールでの響きは、曲本来のゴージャス感をさらに倍増させると痛感した。今後ローザ作品のシネコンサートが企画されればと切望する。

以上、インディアナポリス響の演奏もよく、全体的には、好印象の演奏会であったが、自分的には、テーマ曲の演奏はすべて割愛し、その分、別作曲家の組曲作品が、もう1曲演奏されておれば最高であったと考える。ゴールドスミスの薫陶を受けた指揮者だから、アレックス ノースの作品が選定されても不思議でないし、当方としても大歓迎であったのであるが、、、

 

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 インディアナポリス ダウンタウン センターサークルよりコンサートホール(Hilbert Circle Theatre)を望む。

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 入り口にて