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北米演奏会探訪記

映画音楽、近現代作曲家作品や、米国演奏会についての自己備忘録的日記

VOL.8; 2017年 3月25日探訪 SERGEI PROKOFIEV; SELECTIONS FROM ROMEO & JULIET

SERGEI PROKOFIEV; SELECTIONS FROM ROMEO & JULIET

                  (COMPILED BY ANDREY BOREYKO)

GABRIEL PROKOFIEV; CONCERTO FOR SAXOPHONE AND ORCHESTRA

OTHER

DETROIT SYMPHONY ORCHSTRA CONDUCTED BY ANDREY BOREYKO

VOL 5でも述べたように、今年はプロコフィエフ作品が聞ける機会が多い。プロコフィエフ好みの当方としては嬉しい。プロコフィエフは一般的に、米国の聴衆にも受けが良いと思われる。今回足を運ぶきっかけとなったのは、プロコ作品でも一番好みのロミジュリが聞ける事、そしてプロコフィエフの孫にあたるGABRIEL PROKOFIEVの作品が聞ける事である。同族2者の作品を配したプログラムに釣られて参上してしまった。ジャズ表現の最先兵器サクソフォーンを使うが、あえて、そのジャズ表現を避けて、管弦楽作品として仕上げたかったとのことである。第一楽章は大胆にもヒップホップ風と銘打った曲で興味をそそったが、曲想リズムからは、その意図を聞き取ることができなかった。オーケストラとサキソフォーンのやり取りに,その模倣を意図したのかもしれない。ヒップポップとオーケストラの融合といえば、自分としては、デビットアーノルドが一連の007作品で見せた、オーケストラをベースにスクラッチ及びシンセ打ち込みを配した音楽を想像してしまうが、そのような形態とは、かけ離れており、純音楽としての品位は保たれていたと思う。他楽章管弦楽の表現は、全体的に聞きやすくわかりやすい明確なリズムを配し悪くなかった。最終楽章は明らかにストラビンスキーの春の祭典を模倣しており、エンディングもそっくりであった。この人、祖父の音楽は引用しておらず、意図的なら、それを想定した聴衆への、カウンターパンチであろうか?いずれにせよ、引用効果もあり最後に盛り上がったと考えている。次に本命のロミジュリであるが、演奏は悪くないのだが、指揮者ANDREY BOREYKOが編曲した組曲の編成が不自然な印象が強い。プロコフィエフ編の第二組曲と同様、大公の宣言から始まるのだが、エンディングではモンタギューとキャプレット家に戻ってしまう。全曲、組曲同様、ジュリエットの死を取り上げ、原作と同様の悲劇の締めくくりにすべきではないかと考える。アンコールのつもりであろうか?違和感が残った。

VOL.7;2017年3月11日探訪  GIACCHINO RATATOUILLE

GIACCHINO   RATATOUILLE

IN CONCERT

KALAMAZOO SYMPHONY ORCHESTRA CONDUCTED BY RAYMOND HARVEY

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今回の作曲家は、現役売れっ子作曲家GIACCHINOである。初めてこの作曲家の作品に出合ったのは、ABCテレビドラマALIASで使用されていた音楽で、打ち込み系の、なかなか乗りの良い曲にオーケストラの絡みを加えた音は新鮮な印象を残した。それで、シーズン1,2のサントラを保有したのが初めての出会いである。その後 ミスターインクレディブルでビックバンドジャズスタイルを使った音楽を提供し、その後ラロシフリンの音楽を引用したミッションインポッシブル3でもジャズと管弦楽の融合した興味深いスコア―を付けていた。ただ、この分野の音楽に関しては、本家のラロシフリンのイメージが強く、かつ自分が、より強く魅力を感じていたジェリーフィールディングのジャズ+管弦楽の融合表現にくらべ、彼の音楽からは、あまり魅力を感じられず、鑑賞対象から長らく外れていた。しかし、テレビシリーズLOSTの鑑賞をきっかけに、再度注目した次第である。特に最終回のエピソードで主要登場人物が最会する場面で使用されていた、弦楽重奏風楽曲が全エピソードを物語るほど効果的あったからである。アカデミー賞受賞(UP)および一連の大作への起用も十分理解できる。 自分的には、彼のアクション系の音よりも、美しい旋律を使う感情表現に魅力を感じる。そこで、今回のRATATOUILLEである。この作品は上述のごとく、当方がGIACCHINOから疎遠なっていた時期の作品であること、鑑賞の対象でないアニメ作であることから、存在すら認知していなかった作品である。シネマコンサートとしては、2015年にすでにリリース済みの様であるが、今回KALAMAZOO SYMPHONYでの演奏に参上。ストーリー上、音楽の内容も豊富で、アクション場面の緊張表現もよかったが、やはり、前述の様に、レミーとリングイニ間の感情表現が魅力的。開演の際に、GIACCHINOからのコメントが読み上げられ、特にクロージングタイトルの場面に流れる曲に注目してほしいとのことであった。全編通し流れていたのであるが、アコーディオンを配したフランス風味のシンフォニックジャズで、1個の管弦楽小品として独立して鑑賞できると感じた。ちなみにKALAMAZOO SYMPHONは伊福部門下のキーボード奏者の山田氏が活動され、過去に伊福部作品も演奏された様なので、今後邦人作品演奏の機会があれば探訪したいと考える。

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会場入り口      開演前、ロビーで    会場の雰囲気  

VOL.6; 2017年 3月4日探訪  LEONARD BERNSTEIN SYMPHONIC SUITE FROM ON THE WATERFRONT

 

LEONARD BERNSTEIN   SYMPHONIC SUITE FROM ON THE WATERFRONT

AUGUSTA READ THOMAS VIOLIN CONCERT NO.3

AARON COPAND     SYMPHONY NO.3

CLEAVELAND ORCHESTRA CONDUCTED BY BRETT MITCHELL

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クリーブランドオーケストラによる、米人作曲家特集。当方にとって、今回の目玉は、コープランドとバースタイン、師弟の作品を集結させた点に興味深々。特にバーンスタインの映画音楽、波止場組曲はバースタイン作では一番の好み。すでに数多くの録音、演奏会の実績がある作品である。師コープランド同様、米国の音色を前面に押し出した音を、感じ取ることが出来る。コープランドの映画音楽同様、従来のハリウッド作曲家とは異なる。波止場に、はびこる暴力と主人公テリーとイディのロマンス、そして感動のラストシーン、これらを交響詩の形で組み上げた逸品である。当方にとって、生オケでこの組曲を鑑賞するのは、初めて。最前列に陣取ったおかげで、CDでは聞き取れない弦楽部分の演奏が印象的であった。ところで、すでに紹介済みのプロデューサーのJOHN GOBERMANがこの作品のシネコンサートをすでにリリースしている。当方、残念ながら、探訪する機会を逃しており、次回チャンスがあれば参上したい。次にAUGUSTA READ THOMASである。新進気鋭の作曲家で、数多くのCDがリリースされている様であるが、彼女の作品をこれまで鑑賞した経験はない。今回の作品からは、かなり抽象的な表現でコープランドとバースタインの対極に位置するかの様である。意図的に、このようにプログラムを組んだのかもしれない。最期にコープランド交響曲3番。この作品は当方にとって、初のコープランド鑑賞曲であったと記憶する。やはり圧巻は市民のためのファンファーレから始まる、最終楽章の盛り上がりである。プレコンサートのプレゼンテーションでクリーブランドオーケストラのバイオリニストが、この曲の解説を実施したのであるが、この最終章の演奏が、かなり急速で困難だと、ぼやいていたが、十分理解できる。弦楽だけでなくパーカッションも気持ちよく鳴ってくれた。米国作曲家の作品を、米国のオーケストラで、米国のコンサートホールで鑑賞するからこそ得られる感動だろう。噂に聞くように、ここSEVERANCE HALLの音響効果はかなり良いと感じた。

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コンサート会場SEVERANCE HALL

VOL.5 ; 2017年2月24日 探訪 PROKOFIEV; IVAN THE TERRIBLE (ORATORIO VERSION BY STASEVICH)

 

PROKOFIEV;   IVAN THE TERRIBLE (ORATORIO VERSION BY STASEVICH)

CHICAGO SYMPHONY ORCHESTRA, CHICAGO SYMPHONY CHORUS, CHILDRENS CHOIR

CONDUCTED BY RICCARD MUTI

SASHA COOKE   MEZZO SOPRANO

MIKHAIL PRTRENKO BASS

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1月のアレクサンダーネフスキーに続き、再度のプロコフィエフ作品鑑賞。今年は生誕125年で、特別イベントを組んでいるオケが多い(以下写真参照)。当日のプログラムノートによると、特にシカゴ響とプロコは関係が深く、1918年、シカゴ響で、自作スキタイ組曲アラとロリのアメリカ初演指揮した様だ。個人的には、ナレーター、朗読付きのSTASEVICH版はメロディアレーベルのLPで初めて、聞き始めて以来、これらが余計と感じており、映画音楽全曲新録がNIMBUSからリリースされた時は嬉々として即購入した覚えがある。このように、今回の演奏会探訪も腰が重かったのだが、シカゴ響*プロコ*ムーティ―の相乗効果に負けて参上。100人を超すCHICAGO SYMPHONY CHORUS、CHILDRENS CHOIRの合唱は圧巻であった。終了時は観客のブラボーコールの嵐とスタンディングオベーションで、米国の演奏会ならではの雰囲気を感じ取った。その長さから、シネマコンサート形式の演奏会は困難かと思われるが、時間的に短い、CHRISTOPHER PALMERによるCONCERT SCENARIO版の演奏会を今後期待をしたい。 

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生誕125年記念演奏会   会場入り口にて 

 

VOL.4 ; 2017年2月14日 探訪 MAX STEINER; CASABLANCA FILM WITH ORCHESTRA

 

MAX STEINER; CASABLANCA   FILM WITH ORCHESTRA

DETROIT SYMPHONY ORCHSTRA CONDUCTED BY CONSTANTINE KITSOPOULOS

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前回のALEXANDER NEVSKY同様、今回もJOHN GOBERMANが企画プロデュースしているシネコンサートシリーズの1つだ。作品はカサブランカ、作曲家はMAX STEINER 。カサブランカは70年代にリリースされたゲルハルト指揮新録シリーズで組曲で鑑賞して以来、ぜひ全曲新録音で聞きたいと考えていたが全曲新録がなく(音質の芳しくない、セリフ付のサントラはリリースされていたが、、)発売を、長らく待ち望んでいた作品である。(結局まだ実現していない)。STEINERは、自分の映画音楽の好みの領域、いわゆるハリウッド黄金時代の作曲家で、ロマンスもの(風と共に去りぬ)からSF(キングコング)まで幅広いジャンルを手掛ており、格調の高くかつ豪華に、まさにハリウッドの香りを感じさせてくれる。しっかりした音楽表現手法の上に香る香水とでも表現するか、そこが、自分にとっての魅力と考えている。そのなかで、今回のカサブランカは戦時中の愛国扇動の影響はあるものの、ロマンス、サスペンスそして異国情緒を幅広い音楽表現を十分堪能でき、彼の作品の中でも、ぜひ生オケで鑑賞したかった作品の1つである。ワーナーブラザースのオープニングテーマから、カサブランカの町を描写するアラビア風劇音を使用した、滑り出しの音楽は組曲鑑賞の時から好みの部分である。演奏会時もホールの効果も十分感じとられた。特に大画面鑑賞時の生オケによるリック、エルザの感情表現は強い印象を残した。今でもその状況が思い出される貴重な経験であった。JOHN GOBERMANは自分の望みを実現してくれる貴重な人材で、ありがたい存在である。ぜひ別の企画も鑑賞したいと考える。

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  休憩ラウンジを臨む      開演前 会場の雰囲気     

VOL.3 ; 2017年1月7日 探訪 PROKOFIEV ; ALEXANDER NEVSKY  FILM WITH ORCHESTRA

 

PROKOFIEV ; ALEXANDER NEVSKY  FILM WITH ORCHESTRA(ADAPTATION BY WILLIAM D BROHN)

DAYTON PHILHARMONIC ORCHESTRA CONDUCTED BY NEAL GITTLEMAN ,CHORUS CONDUCTED BY HANK DAHLMAN

RYU KYUNG KIM MEZZO SOPRANO

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プロコフィエフは、いくつかの映画音楽を手掛けており、以前から愛好していた作曲家の一人。特にEISENSTEINとの共同作業による2作品ALEXANDER NEVSKY、IVAN THE TERRIBLEは、カンタータ形式に改編されて、頻繁に演奏される機会が多い。過去には、このカンタータ形式しか聞くことができなかったが、1987年プロデューサーのJOHN GOBERMAN と編曲者 DAVID BROHNによりカンタータ曲およびサントラサウンドからの編曲で映画サントラのスコア―を復元し、1987年PREVIN指揮のROS ANGELES PHIL でシネマコンサート形式で初演された(当日のプログラムから引用)、これは後にBMG盤でCD化され、当方も保有し長く愛聴している。今回の演奏会は、LOS AGELES PHIL で演奏された、シネマコンサート形式と同一になる。原版スコア―からの再編、新録は後に、SCHNITTKE の映画音楽新録シリーズ他を手掛けたAPRICCIO盤からでており、これがサントラに一番近いと考えられる。聞き比べると、やはり演奏会を意識し,一部のアレンジを加えた(特に楽曲:ICE BREAKEは、原版で使用されている弦楽部を超強烈パーカッションに変更したり、最後に水没するドイツ敵兵を茶化したホルンを廃止している)BMG盤の方が演奏会には効果的と感じていた。 さて、実際の演奏会では、 生オーケストラと映像効果により、氷上の戦いほかのドラマテックな表現を感じ取れたが、 以外にも感動を受けたのは、戦いで死んだ兵士を映し出す映像と、その映像の前で、RYU KYUNG KIMが感情込めて哀歌を歌い上げた場面である。このような、状況を作れるのは、独唱付きのシネコンサートだけで、これは単なるCDの鑑賞やカンタータのみの演奏会では得られない経験である。プロコフィエフは、いまだ新録されていない映画音楽が、いくつか存在しており、今後のCD化とともに、新たな演奏会実現を期待する。

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 コンサートホールのSCHUSTER CENTER        開演前 会場の雰囲気     

VOL.2 ; 2016年12月10日 探訪 DIMITRI TIOMUKIN ; IT’S A WONDERFUL LIFE

 

DIMITRI TIOMUKIN ; IT’S A WONDERFUL LIFE

CHICAGO SYMPHONY ORCHESTRA, CHORUS CONDUCTED BY JUSTINE FREER

FILM WITH ORCHESTRA

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最近日本でも見られるようになった、いわゆる シネマコンサート形式の演奏会。今回の指揮者JUSTINE FREERも以前、来日している。TIOMKINの作品が、それもスコア全曲を名門シカゴシンフォニーで聴ける機会はほとんどないと思われる。この作品IT’S A WONDERFUL LIFE(1946 directed by Frank Capra)は映画としての評価が高く、かつ米国では、クリスマスシーズンに毎年繰り返し放映されている定番映画のようだが、当方の興味はTIOMKINの1語に尽きる。思い起こせば、70年台ゲルハルト指揮ナショナルフィルで録音された、映画音楽新録音集の中1枚にあった LOST HORIZON (1937 directed by Frank Capra)が当方にとってきわめて重要な出会いであった。それまでサントラといえば、2流の録音で管弦楽としての価値が見出されていなかったのであるが、そのすばらしい録音質と映画音楽を1大交響詩として30分程度の小品として表現しており、当時としては画期的であったと記憶している。それ以来、あの感動を求めて彼の新録盤が出るたびに買い漁ること数十年、TIOMKINの作品を、実際のオーケストラ演奏を生で、しかも全曲聴けるのは感慨深い。本作品も実際、新録音はTELARCから発売済みで、すでに鑑賞済みであったが、やはり目の前での演奏はまったく異なった印象を受けた。特にジョージが仮想世界を漂う際のドラマチックな表現は、まさにTIOMKIN節炸裂。ほかの作品にも共通して言えることだが、生ではさらに迫力を増して聞こえた。今回は、クリスマスに合わせた公演で聴衆ともに盛り上がり演奏会ならではの経験である。今回もそうだが、TIOMKINの作品群中には合唱を効果的に用いているものが散見される。特にSERCH FOR PARADISE (1957 directed by Otto Lang)の大団円での合唱には圧倒されたが、本作品でも効果的な合唱が印象に残った。今後 LOST HORIZON や  HIGH AND MIGHTY のような、当方好みのレアかつ音楽的に面白いものが演奏されることを期待したい。

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コンサートホール入り口にて

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  演奏会終了後偶然にも降雪。演奏会効果もあり、雰囲気抜群