米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.38 ;2018年11月24日探訪 ジョン ウイリアムズ編その8 Episode 5 : Empire Strikes Back スター ウオーズ 帝国の逆襲 演奏 Chicago symphony orchestra シカゴ交響楽団

Star Wars: The Empire Strikes Back

(Score performed live to complete film)

Chicago symphony orchestra conducted by Richard Kaufman

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今回の探訪はvol.19,vol.35 でも取り上げた、シカゴ響によるスターウォーズ、シネコンサートシリーズになる。ニュヨークフィルによるReturn of the Jedi, Force awakens の世界初演及びシカゴ響によるA new hope のコンサート探訪後、残り未探訪であったThe Empire Strikes Back in Concertを今回の探訪することができた。これで、現在企画されているスターウォーズ、シネコンサートシリーズを,いずれも米国名門オーケストラで鑑賞することができ,サントラファン、ウイリアムズファンとして貴重な経験になった。思い起こせば、70年、80年代サントラ盤が発売された当初、繰り返し鑑賞しては、コンサートホールでは、どのように響くのだろうかと考えていた、特にThe Empire Strikes Backに関しては、ストーリー順と無関係な一部抜粋曲のサントラLP発売からほどなく、70年代に映画音楽新録シリーズ(自分的には映画音楽界における偉業と捉えている)の火付け役になったCharles Gerhard 、National Phil による、当該曲の新録の組曲集がリリースされ、即購入、鑑賞した記憶がある。音質の良い新録音及び熱のこもった演奏に驚嘆するとともに、当時のサントラ未収録曲群に、すばらしい曲が存在していることを認識した記憶が今でも強烈に残っている。その後、全曲サントラがリリースされ、音楽的にも前作A new hopeよりも変化に富んだ、素晴らしい楽曲群の全貌がわかり、ますます、コンサートホールでの全曲鑑賞を待ち望むことになった次第である。探訪順では最後になったが、コンサートホールでの響きを一番確認したかった作品になる。今新たに聞き直しても、いずれの楽曲も興味深いオーケストレーションによる斬新な響きを有し、1作目を凌駕しようとする,作曲家ウイリアムズの意気込みが感じられる。さて、当日は、通常のコンサートと変わらぬ8時前後の演奏開始で、若年層も見られるが、大半の客層は、おそらくこの映画を見て育った年齢層であろうか、落ち着いた感じを受ける。特別興行目当ての、一見さん達だけではなく、地域オーケストラを支える、近隣住民が大半と思われ、コンサートホールは満席状態であった。前回作A new hopeにおいては後方席に位置し、金管、打楽器のホールの反響効果を十分堪能したが、本作The Empire Strikes Back では後述の様に、弦楽の巧妙さを楽しめる、好みの楽曲が多いゆえ、弦楽群の観察目的で、ステージ近く前方席に陣取った。おなじみフォックスファンファーレからオープニング開始で、前回同様、観客から歓声による盛り上がりでスタート(これがアメリカのスタイル?の様だ)。惑星ホスの描写音楽に突入し、レイア姫のテーマを絡めながらも、今後の展開を予想させる緊張感を高める劇音はホールの響きでいっそう効果的に感じた。前半で注目していたポイントは、雪上での戦いでの音楽で、サントラでは、ピアノによるAT-AT歩行描写が、巧妙かつ効果的であったが、今回のコンサートでは、効果音の大音量の為か、うまく聞き取れなかった(割愛されていた可能性も有)。シネコンサートにおいては、何を主体にすべきなのか、効果音か?オーケストラか?どのようにバランスをとるのか、難しい選択になるだろう。(極論になるが、自分的には、映像なしで、音楽のみで全曲演奏を希望するし、それでも十分鑑賞価値は有ると信じる。)その後は、ヨーダを絡めた音楽が面白いが、弦楽演奏も、サントラより短く、残念ではあったが、ジェダイのフォーストレーニングにおける、静動のバランスを表現する管弦楽の絶妙なアンサンブルは十分楽しめた。サントラ全曲盤第1枚目cd終了と、ほぼ同様のタイミングで休憩が入り、 2枚目cdと同様にインペリアルマーチで後半が開始された、 後半最初の聴き所は、ソロが向かったクラウドシティー描写の音楽が印象的で好みの楽曲だ。サントラ盤では、地味ながら、すばらしい弦楽とマッチした女性コーラスが、さわやかな逸品で、当日の演奏では、どうなるか着目していたが、残念ながら、コーラスは割愛されていた。それでも、この部分のホールでの響きは格別であった。その後、後半の山場へと進む。ソロがカーボン冷凍されるシーンで、葬送曲風楽曲の中、演奏される打楽器連打のホール反響が格別。その後、当方一番の着目楽曲は、ベーダーの衝撃の告白後からルーク救出までに流れる劇音で、緊張をあおるような弦楽を、変調を繰り返しながら効果的に使用しており(ハーマンのサイコでの弦楽による効果と肩を並べても良いと個人的には考えている)極めてドラマテックかつ効果的な展開になっている、今回前方席に位置したのも、これら弦楽演奏を前方席からじっくり観察するためであり、その点は、十分堪能できた。最後に、定番曲エンドタイトルによる最大の盛り上がりと、ウイリアムズのクレジット表示時の更なる大喝采の中、終演した。

 追伸 ー演奏会とは無関係 であるが、 デトロイト美術館 スターウォーズコスチューム展(今年夏訪問)において展示あった、帝国の逆襲関係を一部、本記録に加えたい。

   

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入口にて                                  ホールにて (記念撮影用の背景)

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会場の雰囲気     前方席に位置した                     終演後

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デトロイト美術館 スターウォーズコスチューム展より


 

 

 

Vol.37 : 2018年11月3日探訪   バルトーク編 その1 木製の王子 全曲 演奏 Cleveland Orchestra クリーブランド管弦楽団

RACHMANINOFF - Piano Concerto No. 3

BARTÓK - The Wooden Prince (complete ballet music)

The Cleveland Orchestra

Matthias Pintscher, conductor

Kirill Gerstein, piano

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今回探訪の目的は、バルトークのバレー音楽、“木製の王子”全曲で、演奏はCleveland Orchestraである。前回はハーマンの“北北西に進路をとれ”全曲世界初演で探訪( VOL.22参照 )して以来約1年ぶりになる。バルトークの演奏会曲目の中で、“木製の王子”はなかなか演奏機会がない逸品である。当日のプログラムによるとCleveland Orchestraでの演奏は、これまでに2回だけの演奏で、前回演奏されたのは1996年と20年以上前になる。バルトークの舞台作品はダークな印象を受ける作品が多い中、題材及びストーリーがファンタジー的でありバレー音楽でありながら、想像力で映像を描きやすく、かつ劇音楽的要素が強い故、映画音楽との類似性を感じており、長年の愛聴曲になっている。全曲を通して、幻想的な雰囲気を醸し出したオーケストレーションで、聞き込むごとに、その独自な世界に引き込まれてゆく。全曲50分近くになる音楽構成は静寂から開始し静寂に帰結し、あたかも一大幻想音楽絵巻を見るようである。特にこの曲は視覚的故に音響効果が重要であり、Cleveland Orchestraによる、ここSEVERANCE HALL での響きは秀逸。大いに癒される演奏会になった。

 

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紅葉の背景にSEVERANCE HALL を表紙に配した当日のプログラム

Vol.36 : 2018年10月6日探訪  サミュエル バーバー編 その1  : Essay No. 1 演奏 Cincinnati symphony orchestra シンシナティー交響楽団

ADAMS: The Chairman Dances

COPLAND: Suite from the Ballet Billy the Kid

BARBER: Essay No. 1

ADAMS: The Dharma at Big Sur

Cincinnati symphony conducted by Christopher Rountree

Electric violin by Tracy Silverman

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今回の探訪はシンシナティ響によるプログラムである。演奏曲は全曲すべて米国作曲家による、近現代音楽が取り上げられ、しかも、コープランド、バーバー、アダムスと、いずれも当方好みの作曲家群および選曲となっているため、探訪を挙行した。シンシナティ響といえば、エリックカンゼルが活躍していたころは、映画音楽の選曲が多かったせいか、シンシナティーポップスのコンサートに、たびたび参上していたが、今回、久々の探訪となった。今回vol.36 の表題はバーバーとして銘打っているが、コープランド、アダムスの楽曲群も、当方好みで大変興味深い選曲になっている。おそらく、コンサートとしての目玉は、第1曲及び締めの第四曲に配した、アダムス作品の2曲になるだろう。さて、BARBER: Essay No. 1である。バーバーはエッセイを、全3曲残しているが、いずれも魅力のある樂曲であり当方好みの曲であるが、比較的演奏機会が少なく自分的には、今回のシンシナティ響で、初めてのコンサート体験になる。今回演奏される1番は一番地味で、盛り上がりも少ない感じがするが、バーバー特有の旋律をコンサートホールで十分堪能できた。バーバーに関しては交響曲、バレー、オペラいずれも興味深い作品を残しており、いずれも米国外では演奏機会が少ないので、今後も探訪のターゲットとしたい。次に、コープランドのSuite from the Ballet Billy the Kidである。ストーリー展開含め、極めて映画的要素を有する本曲はダイナミックなオーケストレーションとコープランドのリリシズムが融合されており、彼のバレー曲のなかでも、特に好みの楽曲である。コンサートホールでのコープランド特有の響きを楽しめた。当日プログラムによると、コープランド自身シンシナティ響で当該曲を指揮した記録があり、それがシンシナティ初演の様だ、彼自身このコンサートホールで同曲を指揮したとは感慨深い。最後はアダムスの楽曲になる。アダムスといえば、NIXSON IN CHINA のオペラが当方の脳裏に鮮烈に記憶されている。オペラ題材に政治イベント引用する大胆さに唖然とした記憶がある。既成概念にとらわれないオペラを手掛けるのは米国の懐の深さ言える。以前にも言及したが、ハワードショアー作曲、フライの映画音楽がオペラ化されたのも、このような自由な発想ができる土壌から生まれたのだと思う。(実際、彼はカナダ人の作曲家であるが、、、)さてThe Chairman Dancesである、アダムスの音楽はリズムの反復を多用する手法(いわゆるミニマルミュージック)を多用し、伊福部節に馴染んだ自分的には、好みの響きである。しかしながら、彼は、映画音楽的な分かりやすい表現も多用しており、映画音楽ファンにとっても、受け入れやすい音楽と思う。今回演奏されたThe Chairman Dancesからも、それが聴きとれる。ちなみに、興味深いことに、アダムスは レナード ローゼンマン(当方好みの作曲家)の映画音楽(エデンの東、理由なき反抗)を自身の指揮で、新録音CDをリリースしており、映画音楽に関しても理解が有ると推定され、好感が持てる作曲家である。最後にThe Dharma at Big Surである。The Chairman Dancesとは対照的に、より思索的抽象的な題材に楽想を求めており、東洋的な旋律を電子バイオリンで効果的に表現している、電子バイオリン独奏は本作の世界初演に演奏したTracy Silvermanによるもので本家の貫禄を感じ取れた。さらに今回オーケストラの背後にスクリーンが配置され、映像作家による、本作を題材にしたイメージビデオが演奏と同時に映し出されており、大変興味深く、新鮮な印象を受けた。心地よく、繰り返し波打ちながら終演を迎えた。

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コンサートホール入口にて

歴史を感じさせる立派なホール。 2017に内装一新した様だ。

 

VOL.35 ;2018年6月30日探訪 ジョン ウイリアムズ編その7 Episode 4 :A New Hope スター ウオーズ 新たなる希望 演奏 Chicago symphony orchestra シカゴ交響楽団

 Star Wars: A New hope in concert (Score performed live to complete film)

Chicago symphony orchestra conducted by Richard Kaufman

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今回の探訪は、vol.19でも取り上げた、ウイリアムズ作スターウオーズ、シネコンサートになる。vol.19では、ニューヨークフィルによるReturn of the Jedi , Force Awakensの世界初演の探訪について記載したが(詳細はvol.19参照)、今回の作品は、New hopeになる。演奏は、つい最近ウイリアムズ自身指揮のコンサート(vol.31  参照)および、同じくウイリアムズ作ジョーズのシネコンサート(vol. 12 参照)等を実施した、シカゴ響、指揮は長らくシカゴ響とのシネコンサートを手がけてきた人気のRichard Kaufman である。スターウオーズシリーズ第一作であり、音楽的にも、その後のシリーズの方向性を決定付ける重要な作品である。公開当時は、スペースオペラなる表現を用いる事で、映画そのものの表現のみならず、音楽にもオペラ的劇的な含みを持たせており、当時の映画音楽には珍しく、ロンドン響を駆使した録音に大いに驚いた記憶がある。公開当時に抜粋曲2枚組みLP、その後、全曲収録2枚組みCDがリリースされ、曲の全貌は把握できていたが、ぜひコンサートホールで鑑賞したいと切望していた。テーマ曲、インペリアルマーチ他の抜粋は無数のコンサートで取り上げられているが、全曲を通した演奏は皆無であった。前述のごとく、音楽には、オペラチックな劇性を求めて構成しており、オペラを鑑賞するように、コンサートホールで全曲をオープニングから最後のエンドクレジットまで聞き込む事が重要であると考えている。特にこの第一作にはその傾向が強いと思う。その記念的作品を名門シカゴ響で、しかも数々の名録音を生んできた、ここシカゴシンフォニーホールで鑑賞できた事は感慨深い。当方のスターウオーズ コンサートシリーズ探訪に関しては、映画の公開順とは、ほぼ逆順での鑑賞にはなるが、ウイリアムズの1大交響叙事詩とも言える、スターウオーズシリーズ楽曲の全体を改めて、追体験する良い機会になった。ニューヨークフィルでの世界初演コンサートでは、ホールのエントランスで記念撮影、記念品販売他のイベントが目立ったが、今回は記念品販売はあるものの、目立ったイベントはなかった。コスプレ連は見られず、ロゴ入りのシャツを着た数人が散見される程度で、通常の演奏会と、さほど変わらない印象である。さて、演奏である。まず、フォックスファンファーレとオープニングでは、ニューヨークフィルでの初演と同様に観客から大歓声が上がった。特にフォックスファンファーレのホールでの響きは単に宣伝効果だけではなく、何か本編内容を期待させる儀式的効果があると思われる。イントロから畳み掛けるように、Imperial attack の劇伴が演奏されると、これまでコンサートホールで演奏されなかった部分に突入し感動を覚えた。70年代に初めて鑑賞した折感じたことではあるが、第一作はホルスト、ストラビンスキー等のクラシック作曲家の影響を顕著に感じていたが、特にThe dune sea 描写の音楽は,砂漠でのシーンではあるが、なぜか、春の祭典からの引用を連想させる。CDの鑑賞とホールでの鑑賞で大きく異なって聞こえるパートの1つはパーカッション群ではないだろうか、Sand people の攻撃では特に、ホールでの音響効果が抜群で、そのパワーに 圧倒される。当方好みの部分であるが、広大なMos eisley spaceport 景色を丘陵から望むシーンに流れる、ウイリアムズの初期作品特有の響きを有するフルオーケストラサウンドはコンサートホールで格別に感じ取れた。その後ファルコン号がデススターに牽引されるところで前半終了、休憩を挟み、ファルコン号の床底で難を逃れた一行が行動開始するところで、後半が開始される。これは以前から気になっていた事であるが、丁度この時使用される音楽が、バーナードハーマン作曲のサイコ、タクシードライバーのエンディングで使用されている、いわゆる恐怖のコーダーと、極めて類似した断片が聞き取れる。偶然の一致とは思われるが、同業の作曲家に敵が多いハーマンではあったが、ウイリアムズとの関係は良好であった様である、何か意図的なものを感じる。その後は、ダイナミックな音楽が主体になるが、劇音楽の効果として面白いのが、チューバッカと敵兵に紛れて姫の救出時の劇音楽wookie prisoner である。地味ながら緊張感を高める、ホールでのパーカッションの響きが印象に残る。次の山場で好みの曲は  Trash compactor である。四方から迫る壁の恐怖を描写する音楽は、ジョーズでの迫り来るサメの巧妙な恐怖描写に匹敵するほど、秀逸である。これも大画面で、しかもコンサートホールならではの効果を実感できる好例である。最後にThe battle of yavin でフルオーケストラによる怒迫力演奏後、おなじみのThrone room /end title と進んだ、何度も聞いている定番曲ではあるが、今回オープニングから全曲通してから最期に鑑賞する場合と、単独で、鑑賞する場合では、感動の度合いが全く違う。コンサートホールで観客オーケストラ一体となり、全曲のすべてを体験する事は、それを倍増させるのであろう。エンドクレジットでの演奏はvol.19でも言及したように一編の交響詩を聴く様で、シカゴ響の演奏も秀逸、ウイリアムズのクレジットが表示された時、新たな喝采が観客から上がり最大の盛り上がりで終演した。ニューヨークフィルでの初演およびシカゴ響による今回の演奏を探訪して感じたことであるが、シネコンサートとはいえ、演奏開始時間(夜8時ごろ)や演奏時間(2時間前後)は通常のクラシック音楽演奏会と同様に設定されている。(ホールの都合もあると考えられるが、、、)これは、このイベントを特別扱いし、お祭り騒ぎによる特別興行に終始するのでなく、シネコンサートを通常のオーケストラコンサートの’レパートリーとして、同様に扱うことで品位を持たせる事が、1芸術として末永く永続させる為には重要であると考えている。実際、全米の多くのオーケストラ(名門オーケストラ含む)では年間の演奏プログラムに複数のシネコンサートが、必ずと言っていいほど、組み込まれており、オーケストラの演奏プログラムとして市民権をすでに得ていると考えられる。ただし、人気作品に集中する傾向があるので、サントラファンとしては、売り上げに依存する人気作だけでなく、音楽的に秀逸な映画音楽(全曲演奏シネコンサートもしくは組曲)が少しでも多く演奏されることを切望する次第である。

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  入り口にて      小さいながらグッズの販売も有り。

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後方からの鑑賞であったが、音響効果は抜群のコンサートホール。

 

 

  

 

  

 

 

VOL.34 ;2018年6月23日探訪 ウォルター ピストン編 Symphony No. 6 演奏 Grant Park Orchestra  グラントパーク管弦楽団

グラントパークWalter Piston:   Symphony No. 6 

Other

Grant Park Orchestra conducted by Carlos Kalmar

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今回は、米国作曲家ウォルターピストンによる交響曲6番が主目的のコンサートの探訪になる。当方は、米国の近現代の作曲家作品群が好みで(ハリウッドの映画音楽作曲家群をそれに含めるのが当方持論である)、その存在を知る限り、作品の録音を探し回り、収集してきた。自分のスタンスは、映画音楽、純音楽の垣根を引くのでなく、オーケストラによる芸術として、理屈でなく感性に訴える音楽を、探し求めて来た次第である。ピストンに関しては、録音が多くの残されており、その作品を鑑賞できる機会は多い方であるかと思う。当方のピストン作品との、初めての出会いは、ルイビル響によるピストン作品集(First edition シリーズと銘打ち、Albany musicからLPがリリースされていた)である。個人的見解として、一般に良く言及される新古典主義的作風(ストラビンスキーがこの傾向に陥った後、斬新さを失ったため、自分的には、この作風は好まない)感じられなかった。また、 単に明るいだけな安直な曲調とは一線を画する、重厚かつ緻密な音楽構成は、一見、暗く、なじみ難い第一印象があるが(しかしながら絶妙のタイミングで軽快なリズムが織り込まれる、技巧がすばらしく感動を覚える)一度よく聞き込むと、ずるずる引き込まれる魅力を有しており、いつの間にか虜になっていた。この過程は自分の経験からは、ショスタコビッチの音楽に傾倒する過程に、類似している様である。ショスタコ同様に、入手できる作品を手当たり次第に収集するにいたっている。以後、米国の作曲家の中でも、好みの作曲家になっている。ところが残念なことに、演奏会で生演奏を経験できる機会は極めて少ない。演奏会で指揮者Carlos Kalmar自身がコメントで述べていた事であるが、ピストンの作品について、20年前は比較的頻繁に演奏されていたが、最近は少ないとの事である。したがって、米国の作曲家といえばバーンスタインかコープランドしか上がってこない米国外の演奏会では、ピストンの作品が、演奏される事は、ほぼゼロと考えられる。今回探訪のシカゴ、グラントパーク音楽祭では、そのピストンの交響曲6番を取り上げており、探訪の価値は十分あると判断した。演奏はGrant Park Orchestra、指揮はCarlos Kalmar になる。この組み合わせに関しては、 vol.20   でも言及した、米国の作曲家Robert Kurka のSymphony No. 2や American Works for Organ and OrchestraでBarberやPistonのオルガン付き管弦楽をCedille   からリリースしており(いずれの作品も愛聴盤となっている。)これらの事から、指揮者Carlos Kalmarは、かなり米国近現代作曲家に関心があると考えられる。彼は、これまでもグラントパーク音楽祭で、Chadwick、Harris、Piston、Diamond、Antheil等の米人現代音楽作品を取り上げており、当方好みの選曲が多く、ありがたい存在となっている。さて演奏である。グラントパーク音楽祭はラビニア音楽祭と並んでシカゴで注目の音楽祭で、ラビニア音楽祭会場は郊外に位置していることに対して、グラントパークはシカゴ響本拠地コンサートホールに近いダウンタウンの公園で実施され交通至便の上、環境は良い。野外コンサートで音響効果は期待できないが、好みのピストン交響曲が生演奏で楽しめる貴重な機会である故、リラックスして鑑賞を決込んだ。1940年代スタートアップされたGrant Park Orchestraの演奏レベルは高く、前述のごとく米国近現代作品が得意の様である。自分好みの作曲家作品しかも演奏機会の少ない、隠れた米国作曲家の逸品を米国のオーケストラで楽しめる、至福の時間となった。当日は好天に恵まれ、芝生の上でワイン片手に夕食を楽しみながら鑑賞している家族が目立った。このような、すばらしいコンサートが、なんと、無料開放(後方の一般席および芝生のみ)されているとは、本当にすばらしい。30分たらずの作品であるが、ピストン交響曲6番は著名な指揮者がこぞって録音しており、彼の代表作に祭り上げられている感がある。たしかにピストンの特徴を楽しめる作品ではあるが、自分的にはピューリッツァー賞に輝いた7番や8番の方が、より起伏に富んだ技巧を楽しめる為、より好みではある。今後の演奏会に期待したい。

 

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会場の雰囲気:Grant park 内に有るJay Pritzker Pavilionの様子

VOL.33 ;2007年11月24日,2008年7月26日探訪 ジョン ウイリアムズ編その6

  1. Music by John Williams: Chicago symphony orchestra ,conducted by John Williams
  2. Film night at Tangle wood: Boston symphony orchestra , conducted by John Williams

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前号同様、今回も過去に探訪した、ウイリアムズ指揮による自作品のコンサートを記録に残す。

1件目は、前号よりも1年前2007年11月24日探訪したシカゴ響ウイリアムズ指揮によるコンサートで、プログラム構成がオーケストラ用管弦楽作品約70%映画音楽約30%の比率になっており、ウイリアムズの純音楽作曲家としての作品に比重が置かれたコンサートとして記憶に残る。1980年に作曲された小品Fanfare for a festive occasionから始まり、小澤征爾ボストン響音楽監督就任25年記念のために作曲されたTribute  for Seiji および The Five Sacred Trees ,Bassoon Concert が前半に配されていた。Tribute  for SeijiとBassoon Concertが印象に残る。きらびやかなで躍動的オーケストレーションを多用したTribute  for Seijiに対し、朽ちゆく木を題材にした詩から着想を得て作曲されたBassoon Concertは、オーボエを用い深い思索を感じさせる表現で,きわめて対称的プログラム構成。どのような題材でも傑作を生み出す、天才ウイリアムズの1面を映画音楽以外でも痛感させられる好例と感じた。休憩を挟んで、アメリカンミレニアムガラのイベント用に作曲された楽曲American Journey全6楽章から4楽章を抜粋演奏後,3曲は映画音楽The Witches of Eastwick, Memoirs of Geisha, The Extra-Terrestrial から抜粋それぞれ1曲ずつ演奏された。American JourneyではBassoon Concertとは一転して、躍動的な米国の成長を表現するウイリアムズ得意のダイナミックな曲で盛り上がった。ここまで映画音楽以外の作品のプレゼンをすることで、残りの映画音楽演奏に弾みがついた印象がある。特に印象に残った樂曲はThe Witches of EastwickからBalloon sequence and devils dance である。ファンタジックコメディー用の舞踏音楽ではあるが、シカゴ響によるコンサートホールでの響きは格調を有し、かつ迫力満点。その後アンコール曲に、自分好みの1曲Accidental TouristからMain Titleが演奏され、最高のエンディングとなった。物語の全てを含蓄するかのような、その旋律に感動せざるを得ない。当該曲が名門オーケストラ演奏にて鑑賞できる機会も多くはないだろう。シカゴ響とウイリアムズのコラボが良好な印象受けたコンサートであった。前号で言及した2008年のコンサート、および、その後リンカーンのサントラ録音へと関係が発展する布石になった重要なコンサートになったのではないかと推定する。

 

2件目は2008年7月26日探訪、ウイリアムズ指揮ボストンポップスオーケストラ FILM NIGHT AT TANGLEWOOD になる。夏場における米国オーケストラシーンでは野外コンサートが盛んに実施される。ボストンのタングルウッド、シカゴのラビニアおよびグラントパークが有名であるが、全米各地のオーケストラは挙って野外コンサートを実施し、音楽愛好者にリラックスして音楽を楽しめる機会を提供している。野外により音響効果は期待できないがウイリアムズ@TANGLEWOODを経験する機会と考え、参上した。前半はExcerpt from Close Encounters of Third Kind およびWaxman のSuite from A Place in the Sun の2曲が自分的にはおおいに楽しみにしていた曲になる(これらの組曲を生オーケストラで鑑賞できる機会は少ない)特にSuite from A Place in the Sunにおいて、舞台上で繰り広げられるアルトサックスとオーケストラの絡み合いは出色である。ゴールドスミスが来日コンサートでWaxmanを取り上げたように、ウイリアムズも同様に彼のコンサートで取り上げる理由は十分理解できるし、改めて、Waxmanの残した芸術のすばらしさに感動した。ハリウッドの黄金期を支えた音楽家達の芸術を自己のコンサートで共有する、その様な姿勢に真の芸術家魂を感じるのである。Waxmanは自分的にもファンでその音楽に傾倒しており、大変貴重なプログラムであった。休憩を挟んで、後半のプログラムは、スピルバーグが司会を担当で、A SALUTE TO INDIANA JONES と題し、全7曲をすべてインディアナジョーンズシリーズから選択された構成になっており、一部映像を使ったプレゼンが効果的であった記憶がある。7曲のうち約半分の3曲は、このコンサートが実施された2008年に公開されたIndiana Jones And The Kingdom Of The Crystal Skullから抜粋されており、大変タイムリーな演奏会であった。確か、このサントラは、TANGLEWOODの売店で購入したので、個人的にも思い出に残るコンサートになっている。

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TANGLEWOOD  演奏会場の雰囲気

VOL.32 ;2008 年8 月21 日探訪 ジョン ウイリアムズ編その5 Memory of a geisha

Excerpts from Close Encounter of the Third Kind

Flight to Neverland from Hook

Three pieces from Indiana Jones

Memory of a Geisha,Suite for Cello and Orchestra

Flying Theme From E.T.

Others

Chicago symphony orchestra conducted by John Williams

Yo-Yo Ma,Cello

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 前号でも言及した様に、継続してウイリアムズに関する過去のコンサートについて記録する。このコンサートの目玉は映画Memory of a geisha (2005) の演奏会用組曲(おそらく世界初演)が演奏される事であった。しかもそれが、シカゴ響+yo yo ma +ウイリアムズ指揮の超豪華組み合わせで実現することになり、ファンとしては見逃せないイベントであった。当該曲は数あるウイリアムズ楽曲中でも、最も好みであり、最重要イベントとして今でも記憶に残る。ウイリアムズにおいては、ダイナミックな楽曲で人気がある事は承知の事実であるが、当該曲のような感傷的抒情表現を用いた楽曲が多い事も事実で、自分的には、その範疇の作品群として Schindlers List7years in Tibet, Accidental tourist、Memory of a geisha を、自分好みの4大曲としており、特にMemory of a geisha は、その最高峰に位置すると感じている。邦楽器や東洋的旋律を導入(執拗なリズムの繰り返しに、なぜか、伊福部節を思い起こさせるところが、興味深い)するが、単なる借り物でなくウイリアムズの響きとして独自世界の響きを創造しており、本当にすばらしい。演奏会当日は最前席で、固唾を呑んでウイリアムズの指揮と演奏を見守った記憶がある。彼が舞台上を指揮台へと向かう途中、定かではないが、客席に向かって”アリガトウ”とつぶやいたような印象が残っている。yo yo ma のチェロ演奏とオーケストラの駆け引きはコンサートホールで格別な響きであった。幸運な事に、同コンサートホールのライブ録音(20日にも同曲の演奏会があったので、21日の録音かどうかは不明)が後にCDで発売されており、自分にとって、記念に残るコンサートになっている。当日、もう一つの目玉はExcerpts from Close Encounter of the Third Kind である。この曲は頻繁に演奏されており珍しい曲ではなく、個人的には、このコンサート以外に、ウイリアムズ指揮ボストンポップス@タングルウッドを含めると2度経験している。斬新かつ抽象的表現が、独立した現代音楽作品として観賞に値する作品と考えており、ウイリアムズのSF作品群の中で1番の好みになっている。さらに、コンサートホール効果も抜群である。今年は本作の全曲完全版CDがリリースされ、さらに、合唱付全曲演奏のシネコンサートも今後計画が有る様なので大いに期待される。特に本作の合唱効果は、すばらしいものがあり、コンサートホールでどうなるのか想像しただけで興奮を覚える。世界初演は米国外で、米国初演は2019年前半の様である。合唱が必要なオーケストラのシネコンサートは、簡単に実現する企画でないので、実現するなら大変貴重な企画と考えられる。

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入り口にて:芸者の後姿写真とMemory of a geishaの文字が目を引く