米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.6; 2017年 3月4日探訪  レナード バーンスタイン編 LEONARD BERNSTEIN SYMPHONIC SUITE FROM ON THE WATERFRONT

 

LEONARD BERNSTEIN   SYMPHONIC SUITE FROM ON THE WATERFRONT

AUGUSTA READ THOMAS VIOLIN CONCERT NO.3

AARON COPAND     SYMPHONY NO.3

CLEAVELAND ORCHESTRA CONDUCTED BY BRETT MITCHELL

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クリーブランドオーケストラによる、米人作曲家特集。当方にとって、今回の目玉は、コープランドとバースタイン、師弟の作品を集結させた点に興味深々。特にバーンスタインの映画音楽、波止場組曲はバースタイン作では一番の好み。すでに数多くの録音、演奏会の実績がある作品である。師コープランド同様、米国の音色を前面に押し出した音を、感じ取ることが出来る。コープランドの映画音楽同様、従来のハリウッド作曲家とは異なる。波止場に、はびこる暴力と主人公テリーとイディのロマンス、そして感動のラストシーン、これらを交響詩の形で組み上げた逸品である。当方にとって、生オケでこの組曲を鑑賞するのは、初めて。最前列に陣取ったおかげで、CDでは聞き取れない弦楽部分の演奏が印象的であった。ところで、すでに紹介済みのプロデューサーのJOHN GOBERMANがこの作品のシネコンサートをすでにリリースしている。当方、残念ながら、探訪する機会を逃しており、次回チャンスがあれば参上したい。次にAUGUSTA READ THOMASである。新進気鋭の作曲家で、数多くのCDがリリースされている様であるが、彼女の作品をこれまで鑑賞した経験はない。今回の作品からは、かなり抽象的な表現でコープランドとバースタインの対極に位置するかの様である。意図的に、このようにプログラムを組んだのかもしれない。最期にコープランド交響曲3番。この作品は当方にとって、初のコープランド鑑賞曲であったと記憶する。やはり圧巻は市民のためのファンファーレから始まる、最終楽章の盛り上がりである。プレコンサートのプレゼンテーションでクリーブランドオーケストラのバイオリニストが、この曲の解説を実施したのであるが、この最終章の演奏が、かなり急速で困難だと、ぼやいていたが、十分理解できる。弦楽だけでなくパーカッションも気持ちよく鳴ってくれた。米国作曲家の作品を、米国のオーケストラで、米国のコンサートホールで鑑賞するからこそ得られる感動だろう。噂に聞くように、ここSEVERANCE HALLの音響効果はかなり良いと感じた。

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コンサート会場SEVERANCE HALL

VOL.5 ; 2017年2月24日 探訪 プロコフィエフ編 その2 PROKOFIEV; IVAN THE TERRIBLE (ORATORIO VERSION BY STASEVICH)

 

PROKOFIEV;   IVAN THE TERRIBLE (ORATORIO VERSION BY STASEVICH)

CHICAGO SYMPHONY ORCHESTRA, CHICAGO SYMPHONY CHORUS, CHILDRENS CHOIR

CONDUCTED BY RICCARD MUTI

SASHA COOKE   MEZZO SOPRANO

MIKHAIL PRTRENKO BASS

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1月のアレクサンダーネフスキーに続き、再度のプロコフィエフ作品鑑賞。今年は生誕125年で、特別イベントを組んでいるオケが多い(以下写真参照)。当日のプログラムノートによると、特にシカゴ響とプロコは関係が深く、1918年、シカゴ響で、自作スキタイ組曲アラとロリのアメリカ初演指揮した様だ。個人的には、ナレーター、朗読付きのSTASEVICH版はメロディアレーベルのLPで初めて、聞き始めて以来、これらが余計と感じており、映画音楽全曲新録がNIMBUSからリリースされた時は嬉々として即購入した覚えがある。このように、今回の演奏会探訪も腰が重かったのだが、シカゴ響*プロコ*ムーティ―の相乗効果に負けて参上。100人を超すCHICAGO SYMPHONY CHORUS、CHILDRENS CHOIRの合唱は圧巻であった。終了時は観客のブラボーコールの嵐とスタンディングオベーションで、米国の演奏会ならではの雰囲気を感じ取った。その長さから、シネマコンサート形式の演奏会は困難かと思われるが、時間的に短い、CHRISTOPHER PALMERによるCONCERT SCENARIO版の演奏会を今後期待をしたい。 

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生誕125年記念演奏会   会場入り口にて 

 

VOL.4 ; 2017年2月14日 探訪 マックス スタイナー編 MAX STEINER; CASABLANCA FILM WITH ORCHESTRA

 

MAX STEINER; CASABLANCA   FILM WITH ORCHESTRA

DETROIT SYMPHONY ORCHSTRA CONDUCTED BY CONSTANTINE KITSOPOULOS

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前回のALEXANDER NEVSKY同様、今回もJOHN GOBERMANが企画プロデュースしているシネコンサートシリーズの1つだ。作品はカサブランカ、作曲家はMAX STEINER 。カサブランカは70年代にリリースされたゲルハルト指揮新録シリーズで組曲で鑑賞して以来、ぜひ全曲新録音で聞きたいと考えていたが全曲新録がなく(音質の芳しくない、セリフ付のサントラはリリースされていたが、、)発売を、長らく待ち望んでいた作品である。(結局まだ実現していない)。STEINERは、自分の映画音楽の好みの領域、いわゆるハリウッド黄金時代の作曲家で、ロマンスもの(風と共に去りぬ)からSF(キングコング)まで幅広いジャンルを手掛ており、格調の高くかつ豪華に、まさにハリウッドの香りを感じさせてくれる。しっかりした音楽表現手法の上に香る香水とでも表現するか、そこが、自分にとっての魅力と考えている。そのなかで、今回のカサブランカは戦時中の愛国扇動の影響はあるものの、ロマンス、サスペンスそして異国情緒を幅広い音楽表現を十分堪能でき、彼の作品の中でも、ぜひ生オケで鑑賞したかった作品の1つである。ワーナーブラザースのオープニングテーマから、カサブランカの町を描写するアラビア風劇音を使用した、滑り出しの音楽は組曲鑑賞の時から好みの部分である。演奏会時もホールの効果も十分感じとられた。特に大画面鑑賞時の生オケによるリック、エルザの感情表現は強い印象を残した。今でもその状況が思い出される貴重な経験であった。JOHN GOBERMANは自分の望みを実現してくれる貴重な人材で、ありがたい存在である。ぜひ別の企画も鑑賞したいと考える。

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  休憩ラウンジを臨む      開演前 会場の雰囲気     

VOL.3 ; 2017年1月7日 探訪 プロコフィエフ編 PROKOFIEV ; ALEXANDER NEVSKY  FILM WITH ORCHESTRA

 

PROKOFIEV ; ALEXANDER NEVSKY  FILM WITH ORCHESTRA(ADAPTATION BY WILLIAM D BROHN)

DAYTON PHILHARMONIC ORCHESTRA CONDUCTED BY NEAL GITTLEMAN ,CHORUS CONDUCTED BY HANK DAHLMAN

RYU KYUNG KIM MEZZO SOPRANO

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プロコフィエフは、いくつかの映画音楽を手掛けており、以前から愛好していた作曲家の一人。特にEISENSTEINとの共同作業による2作品ALEXANDER NEVSKY、IVAN THE TERRIBLEは、カンタータ形式に改編されて、頻繁に演奏される機会が多い。過去には、このカンタータ形式しか聞くことができなかったが、1987年プロデューサーのJOHN GOBERMAN と編曲者 DAVID BROHNによりカンタータ曲およびサントラサウンドからの編曲で映画サントラのスコア―を復元し、1987年PREVIN指揮のROS ANGELES PHIL でシネマコンサート形式で初演された(当日のプログラムから引用)、これは後にBMG盤でCD化され、当方も保有し長く愛聴している。今回の演奏会は、LOS AGELES PHIL で演奏された、シネマコンサート形式と同一になる。原版スコア―からの再編、新録は後に、SCHNITTKE の映画音楽新録シリーズ他を手掛けたAPRICCIO盤からでており、これがサントラに一番近いと考えられる。聞き比べると、やはり演奏会を意識し,一部のアレンジを加えた(特に楽曲:ICE BREAKEは、原版で使用されている弦楽部を超強烈パーカッションに変更したり、最後に水没するドイツ敵兵を茶化したホルンを廃止している)BMG盤の方が演奏会には効果的と感じていた。 さて、実際の演奏会では、 生オーケストラと映像効果により、氷上の戦いほかのドラマテックな表現を感じ取れたが、 以外にも感動を受けたのは、戦いで死んだ兵士を映し出す映像と、その映像の前で、RYU KYUNG KIMが感情込めて哀歌を歌い上げた場面である。このような、状況を作れるのは、独唱付きのシネコンサートだけで、これは単なるCDの鑑賞やカンタータのみの演奏会では得られない経験である。プロコフィエフは、いまだ新録されていない映画音楽が、いくつか存在しており、今後のCD化とともに、新たな演奏会実現を期待する。

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 コンサートホールのSCHUSTER CENTER        開演前 会場の雰囲気     

VOL.2 ; 2016年12月10日 探訪 ディミトリー ティオムキン編 DIMITRI TIOMUKIN ; IT’S A WONDERFUL LIFE

 

DIMITRI TIOMUKIN ; IT’S A WONDERFUL LIFE

CHICAGO SYMPHONY ORCHESTRA, CHORUS CONDUCTED BY JUSTINE FREER

FILM WITH ORCHESTRA

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最近日本でも見られるようになった、いわゆる シネマコンサート形式の演奏会。今回の指揮者JUSTINE FREERも以前、来日している。TIOMKINの作品が、それもスコア全曲を名門シカゴシンフォニーで聴ける機会はほとんどないと思われる。この作品IT’S A WONDERFUL LIFE(1946 directed by Frank Capra)は映画としての評価が高く、かつ米国では、クリスマスシーズンに毎年繰り返し放映されている定番映画のようだが、当方の興味はTIOMKINの1語に尽きる。思い起こせば、70年台ゲルハルト指揮ナショナルフィルで録音された、映画音楽新録音集の中1枚にあった LOST HORIZON (1937 directed by Frank Capra)が当方にとってきわめて重要な出会いであった。それまでサントラといえば、2流の録音で管弦楽としての価値が見出されていなかったのであるが、そのすばらしい録音質と映画音楽を1大交響詩として30分程度の小品として表現しており、当時としては画期的であったと記憶している。それ以来、あの感動を求めて彼の新録盤が出るたびに買い漁ること数十年、TIOMKINの作品を、実際のオーケストラ演奏を生で、しかも全曲聴けるのは感慨深い。本作品も実際、新録音はTELARCから発売済みで、すでに鑑賞済みであったが、やはり目の前での演奏はまったく異なった印象を受けた。特にジョージが仮想世界を漂う際のドラマチックな表現は、まさにTIOMKIN節炸裂。ほかの作品にも共通して言えることだが、生ではさらに迫力を増して聞こえた。今回は、クリスマスに合わせた公演で聴衆ともに盛り上がり演奏会ならではの経験である。今回もそうだが、TIOMKINの作品群中には合唱を効果的に用いているものが散見される。特にSERCH FOR PARADISE (1957 directed by Otto Lang)の大団円での合唱には圧倒されたが、本作品でも効果的な合唱が印象に残った。今後 LOST HORIZON や  HIGH AND MIGHTY のような、当方好みのレアかつ音楽的に面白いものが演奏されることを期待したい。

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コンサートホール入り口にて

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  演奏会終了後偶然にも降雪。演奏会効果もあり、雰囲気抜群

 

VOL.1;2016年10月9日 探訪 アーロンコプランド編 AARON COPLAND ; CONCERT FOR PIANO AND ORCHESTRA 他

CHRISTOPHER ROUSE ; BUMP FROM PHANTASMATS

AARON COPLAND ; CONCERT FOR PIANO AND ORCHESTRA

GEORGE GERSHWIN ; RHAPSODY IN BLUE

OTHERS

DETROIT SYMPHONY ORCHESTRA CONDUCTED BY LEONARD SLATKIN

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Leonard Slatkin は当方好みの米系作曲家や映画音楽作曲家の作品を頻繁に演奏会の演目に取り入れてくれるので、大変嬉しい。セントルイス響時代に録音したコプランドの映画音楽Heiress 組曲ーRCA VICTOR 盤は、映画音楽通好みの選択で、とりわけ貴重な録音になっている。全曲新録が待ち遠しいところ。他にもジェリーゴールドスミスやラロシフリン他も取り上げている。さてChristopher RouseのBumpであるが、おそらくセントルイス響時代にコミッションされたものと推察する。これまで、この作曲家については見聞することがなかったが、聞いてみると、なかなか面白い、ややシュールな感じがして聞きにくい感もあるが、ダンスフロアでのぶつかり合いを管弦楽で表現するとの事で無謀とも思える試みであるが、後半はかなり盛り上がる。Rouseの交響曲、管弦楽小品も聞いてみると、緊迫感を押し出したドラマチックな表現がうまい様だ。今後も注目していきたい。

次にコプランド、ガーシュイン。この2曲はジャズの影響を受けた関連で対比で取り上げられている。前述のごとく、コープランドの管弦楽の響きが好きな当方は、前半コプランド特有の響きを持つファンファーレから米国の広大な土地を展望する風景を想像するのだが、唐突にジャズが介入する感があり、やや違和を感じる。コプランドはジャズ介さない方が自分としては感覚にマッチする。ガーシュインのラプソディーインブルーはあまりにも有名すぎて、レア好みの当方としては、触手が伸びない。ジャズの影響といえば、長年愛聴している映画音楽作曲家アレックスノースの作品、特にジャズの影響のある作品群の生演奏を待ち望む限りである。