米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.16;2017年8月19日探訪 ハワード ショアー編  The Lord of the Rings:The Two Towers 全曲

 

The Lord of the Rings: The Two Towers

Complete score performed live by Chicago Symphony Orchestra

conducted by Ludwing Wicki  

Chicago Chorale The Lakeside Singers Kaitlyn Lusk, Soprano

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今回の探訪は、当方、今シーズン最後の野外コンサートRavinia 音楽祭での、ハワード ショアーThe lord of the rings: The two towersである。ショアーは、大化けした作曲家の1人であり現在は超有名であるが、当方の関心としては、低い部類の作曲家であった。80年代からの印象は、クローネンバーグホラー専属作曲家の概念が強かったせいか、曲調が暗く、今一つ魅力に欠ける印象があり、それほど注目していなかった。The lord of the ringsに関しても、70年代にリリースされた、ローゼンマンによるアニメ版指輪物語のスコア(個人的には当該スコアー全曲新録を切望しているのだが、、、)に傾倒していた事、一部の曲調がスターウォーズに使用された旋律に類似しており、2番煎じ音楽の感があったために、着目していなかった。ところが、この彼に対する固定概念を、崩したのがThe Flyのオペラ化で、これには、度肝を抜かされた。映画音楽をベースにオペラ化した見事なスコアを提供しており、彼の音楽が持つ芸術的潜在能力を、遅ればせながら、認識した次第である。The lord of the ringsに関しても、3部作から、主要部を抽出したThe lord of rings symphony が、北米各地でも頻繁に演奏会で取り上げられる様になり、探訪を検討していた。そこで、今回のシネコンサートである。今回の演奏会は、ラビニア音楽祭の企画で3部作を3日間連続で、しかも全曲のシネコンサートを野外で演奏するユニークな演奏会(実際、以前同音楽祭で、かつシカゴ響で演奏された様である)になっており、当方参上したのは、第二作目The Two Towersである。アカデミー賞を逃しているものの、全曲鑑賞できるので、彼の作品をある程度鳥瞰できると考えた。やはり、圧巻は大規模な合唱が、圧倒的迫力を有し、野外にもかかわらず、音響効果を楽しめた。映画音楽の枠を超え、オラトリオ作品ととらえる事もできるだろう。

印象に残ったのは、Kaitlyn Luskによるソプラノ独唱部分である。The two towersは他の2作品と比べて独唱部分が多いと思われる、特にアラゴルンのモチーフや決戦で没した兵士のエレジー等々、現実にオーケストラと共に一体になって演ずる様は、スクリーンに映る映像と対比して特別な感動を覚えた。この感覚は、プロコフィエフのアレクサンダーネフスキーのシネコンサートでやはり、メゾソプラノが、独唱した時と類似した感動である(当方探訪記vol.3参照方 )、ショア―がプロコフィエフを意識してこの作品を作曲したことは、明らかで、双方のシネコンサートを経験して得られた貴重な収穫である。

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RAVINIA 野外講演会場入り口   野外会場スクリーン

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オーケストラステージを望む    演奏準備完了。大合唱団は圧巻