米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.17;2017年9月16日探訪 バーナード ハーマン編その2 Vertigo 全曲  

 

Alfred Hitchcock’s Vertigo  

Live with the Bard College Conservatory Orchestra

Conducted by James Bagwell

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vol.9   で報告した、サイコ全曲に続き、今年2回目のハーマン作品、それも長年、探訪の機会を逃がしてきた、Vertigo全曲のシネコンサートである。個人的にVertigoは、その緊迫感あるストーリー展開と対立する抒情性をハーマンの音楽が見事に支えた傑作で、ハーマン作品でも、特に注目してきた作品である。演奏会の場所は、ニューヨーク市から北へ、車で2時間程度にあるAnnandale-on-Hudson(ハドソン川に面した、風光明媚なロケーションであるが、かなり田舎)在のBard大学オケによる演奏である、当該曲はすでに、Jhon Goberman プロデュースによるシネコンが、全米の主要オーケストラにて、一巡終了しており、近々のシネコン予定は英国のため、探訪を諦めていたが、突然、情報が飛び込み、急遽探訪を試みた、偶然にもvol.9 で言及した、ハーマンのレアー曲演奏会(2008年)は、ここAnnandale-on-Hudsonよりやや、北に位置する町 Albany にある、Albany Symphony Orchestraにより演奏されており、その演奏会の事を思い出した(詳細はvol.9参照)。ところで、今年11月にはNew York でハーマンの交響曲1番(CBS 、New York Phil 委託作品)の演奏が予定されており、New York 近辺で彼の作品が比較的多く演奏される傾向が有ると感じる。かつてハーマンが活動していた地、New York との縁が残っているのだろうか?さて、今回の演奏である。学生オーケストラであるが、ハーマン作品を全曲生演奏で聴ける数少ない機会で贅沢をいえない。オーケストラの生演奏で、どのような音が出てくるか、演奏者がどう演奏するのか、映像との関係はどうなのか、最前列に陣取って、観察を決め込んだ。冒頭導入シーン、屋上での追跡および落下までの、一気呵成の演奏はかなりの迫力を感じ取れた。所々、管楽器でのミスが見られたが、スコティ―の尾行、マデリンとの感情表現で聞かれる弦楽は素晴らしく、Scene D'AmourにおいてはCDでは、聞き取りにくかった詳細を観察できた。やはり、弦楽による心理描写の効果が素晴らしい。画像から目を外し、コンサートホールに響く演奏に集中すると、まるで、独立した管弦楽のコンサートピースとして演奏されている様な印象だ。CDではやや、単調に聞こえてしまうが、生演奏では奏者の緊迫感が、直接伝わってきた。悲劇の終末を締めくくる全奏は力がこもった力演で、ハーマンが意図したであろう音楽芸術作品としての締めを、存分に感じ取れた。それは、CDとは異なり、生オーケストラであるが故の感動である。野心的なプログラムを企画推進した大学に敬意を表したいが、満員であった当日の観客たちを見るに、それを支えた、米人たちの芸術に対する懐の深さを痛感した。

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演奏大学はハドソン川対面に位置    森の中に忽然と有るコンサートホール

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 入口にて                                       会場の雰囲気 

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 会場には、Mathieson指揮のサントラ盤を思い起こさせる掲示があった。