米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.18;2017年9月23日探訪 ヤナーチェク編 Opera: Cunning Little Vixen

Opera: Cunning Little Vixen with the projection of original digital animation

The Cleveland Orchestra       Franz Welser-Möst, conductor

Cleveland Orchestra Chamber Chorus Cleveland Orchestra Children's Chorus

Martina Janková, soprano (Vixen)

others

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今回の探訪はヤナーチェクによるオペラ作品である。当方が興味を抱く作品は、主に1900年以後生まれの作曲家群によるものであるが故、1800年台生誕の当該作曲家には、これまで、さほど興味を抱いてはいなかった。今回探訪のきっかけになったのは、当該オペラを、なんと3面スクリーンによる、アニメ映像に合わせて演奏する極めて興味深い試みであったからである。これまで、映画音楽、現代音楽コンサートを中心に探訪してきたが、本来オペラとして意図された作品が、映像+管弦楽作として、どのように変貌したのか、興味を抱いた。演奏はクリーブランド響で、アニメーションはオリジナルで作成した様である。調べてみるとアニメ版に関しては、すでにケントナガノ指揮によるdvdがリリースされている様であるが、今回は別物の独自作と思われる。実は今回の公演は同響による2014年度公演の再演となっている。さてその内容であるが、従来のオペラ形式は被り物を被ったソロイストたちが、舞台で歌唱するわけであるが、本作の様な、ファンタジー的要素を含んだ内容では、被り物と舞台装置だけでは表現に限界がある。そこで、表現を広げるために映像アニメーションを導入しても、いわゆるサントラ劇音楽ならば、そのままで、うまくいくが、オペラとなると歌唱しているソロイストたちの表現力即ち、生身の体から出る表現を鑑賞できなくなる(なぜなら、アニメ映像のみなので、ソロイストの姿が見えない)。このジレンマを解消させるために、アニメ映像とソロイストの登場する舞台を融合させた所に、今回の独自性がある。実際は、人間としての登場人物は基本的に舞台に現れ、その他、狐等の動物に関しては、基本映像で表現されるが、歌唱の場面に合わせて、スクリーン上にある、穴からソロイストたちの顔が現れ歌唱するものである。奇妙な光景であるが、画像とソロイストたちの顔の位置がうまくシンクロされており、不自然感はあまり感じられず、映像によるファンタジー表現と舞台による歌劇表現が見事に融合していた。映像と音楽の融合に注目すると、特に出色していたのは、オーケストラによる間奏曲が印象深い。アニメによる自然描写とヤナーチェクの音楽が見事に合致しており、クリーブランド響による演奏は幻想的かつ眩い世界を上手く表現していた。以前、訪れた、早坂文雄の交響的童話「ムクの木の話し」のシネコンサートも、アニメと音楽でも、自然描写が巧みに表現されていた記憶がある。映像と音楽の融合が生み出す効果としては、共通する何かを感じた。今回の公演は、従来のシネコンサートでもない、また単なるオペラでもないユニークな芸術表現の可能性を実感した。

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会場の雰囲気  3面スクリーンがユニーク    

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      女狐のデコレーション