米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

Vol.19:2017年10月5日、6日 ジョン ウイリアムズ編その3 Return of the Jedi , Force Awakens ジェダイの帰還、フォースの覚醒 全曲 世界初演 (World Premiere-score performed live to complete film)

 

Star Wars: Return of the Jedi , Force Awakens (World Premiere-score performed live to complete film)

New York Philharmonic conducted by David Newman

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今回はニューヨークフィルによるスターウォーズのシネコンサートシリーズから2作、Return of the Jedi, The Force Awakens世界初演の探訪を試みた。この企画は、スターウォーズのシネコンサート全4作New Hope , The Empire Strikes Back 、Return of the Jedi 、 The Force Awakens順次公演するもので、ニューヨークフィルが4作品、全曲世界初演し、その後全米各地および全世界でコンサートが順次計画されている様だ。今回は名門ニューヨークフィルしかも映画音楽作曲家デビット ニューマン指揮による世界初演であり、極めて興味深いイベントである。このイベントは映画音楽専門誌Film score monthly の今月11月号でも特集として、取り上げられており、スターウォーズファンのみならずサントラファンとしても注目度大の企画である。ジョン ウイリアムス作品としては、vol.12 で探訪した、シカゴ響による、ジョーズ全曲シネコンサートに続き今年3回目の探訪である。好みの映画音楽作曲家の作品群が生演奏でしかも、名門オーケストラで鑑賞出来るとは、時代は変わったと感じる。 1977Star Wars公開され、ロンドン響演奏によるLPのサントラが発売された当時から、この曲は、オーケストラによるコンサートを意識していると見ていたが、サントラを名門ロンドン交響楽団に録音させたのは、当時のサントラ音質の悪さに辟易していた自分にとっても、驚きと共に、大きな喜びでもあり、映画音楽(ウイリアムズの作品が)が、クラシック音楽作品と比べても、引けを取らないと確信させた事を覚えている。思い出せば、当時サントラの新録企画は黎明期で、チャールズ ゲルハルト指揮ナショナルフィルが一連のハリウッド作曲群の新録をリリースし、ようやく映画音楽の純音楽としての価値見直しが始まった時期で、スターウォーズの音楽は、この流れを大きく後押ししたと考えている。当時、この作品をコンサートホールで鑑賞したいと願っていたが、実際、鑑賞出来るとは、想像すらできなかった。何故なら、オーケストラのコンサートといえば定番のクラシックレパートリーで、映画音楽はあり得ず、あったとしても、軽音楽のポップスコンサートとして、主題曲の寄せ集め程度、全曲はあり得ない事であった。そして今、シネコンサートと定義される、新しい音楽芸術の流れの中で、実現した事になる。誠に感慨深い。さて、5日木曜のReturn of the Jediである。当日の会場は、スターウォーズフリークによるコスプレ連が多いかと想像したが、全く見られなかった。開催日が平日である事も関係していると思うが、客層的には年齢は高くおそらく、Return of the Jediを見て育った年代層だろう。特別イベント故か、会場は超満員。グッズ販売、ダースベイダー、R2D2との記念写真他イベントを盛り上げていたが、オーケストラコンサートとしての品位は保たれていた。今回探訪の目玉の一つは、フォックスの音楽部長かつ映画音楽作曲家で、ハリウッドの黄金期を支えたアルフレッド ニューマンの息子、デビット ニューマンの指揮を自分の目で確認できることである。自身も映画音楽を手掛けており、指揮の腕に関心がある。冒頭、父親が作曲した20世紀フォックス ファンファーレの指揮で演奏が開始されると、会場から大きな喝采が起きた。サントラや、新録にもこのファンファーレは追加されており、極めて象徴的な音楽である。お馴染みのメインテーマが始まると、さらに大きな喝采となった。この点は、いかにもアメリカ的である。前半はジャバザハット討伐に関する展開で、一部オーケストラ以外の部分、特にバーでの音楽が録音であるが、それ以外はオーケストラ演奏。イヲーク族との遭遇のところで、休憩が入る。後半から、物語の構成から戦闘シーンが多くなり、音楽も大きく盛り上がる。ほぼ切れ目なく、音楽が演奏され、かなり聴きごたえがある。想像していたが、リンカーンセンターDavid Geffenホールは音響効果が良く、ウイリアムスの戦闘シーン音楽は、まさに鳥肌が立つほど壮烈で、ニューマン、ニューヨークフィルによる渾身の演奏会を堪能できた。通常サントラは、小間切れ録音で、演奏者の負担は軽減されるが、今回の様なコンサートで、2時間に及ぶ全曲を演奏するのは、オーケストラ、指揮共に、相当な緊張、負担があると思われる。実際、ニューマンは指揮終了後汗まみれで、それを実感した。後半では、イヲーク族による戦闘音楽が更に特徴的でBoobamtを代表とする特殊打楽器群とオーケストラのコラボも素晴らしかった。イヲークラッパとニューヨークフィルの管楽のタイミングがドンピシャで、生でやりこなすのは相当難しいのではないかと想像する。そして最後のエンドクレジットでの音楽は、本編内容をまとめた、構成で、1篇の組曲として、本来の音楽のみのコンサートを鑑賞した感覚であった。ニューヨークフィルの演奏を存分に楽しめる素晴らしい締めくくりになった。最後にジョンウイリアムスのクレジットが表示された時、改めて大きな喝采があり、ウイリアムスの偉業にしばし思いを馳せた。終了後のスタンディングオベーションも大きく盛り上がり、素晴らしいコンサートであった。

次に第二日目金曜日の公演The Force Awakensである。第一日目探訪のReturn of the Jediは正確に述べると、世界初演から2日目であったが、本作は、文字同りの世界初演日になる。前日同様満員で、人気の高さを伺わせる。

第一日目は、スクリーン全体を見渡せる位置であったが、今回は最前列に陣取った。The Force Awakensのサントラ盤は、それ以前のスターウォーズサントラに比べ音質は格段によくなっているが、残念ながら、全曲を網羅しておらず、今回は生で全曲を聴きこむ絶好のチャンスである。Return of the Jediの演奏も同様であったが、音響効果抜群のコンサートホールで、ほぼ切れ目なくウイリアムスの楽曲の演奏がニューヨークフィルによって2時間近く、自分の目前で演奏される、夢の様である。やはり目玉はReturn of the Jedi同様戦闘シーンの音楽で、今回のニューヨークフィルの演奏はかなり熱が入っており、打楽器と管楽器群の疾風怒濤の演奏がすさまじい迫力で驚嘆した。とにかく、繰り返し、弾丸のごとく腹に振動が伝わって来るのである。特に、後半ハンソロと息子の対決、悲劇の結末を劇的に表現する弦楽表現から基地コア破壊に至る戦闘音楽、静動の起伏が印象的で、しばしスクリーンから、目を離し、音楽およびオーケストラに意識集中すると、改めて、音楽単独でも充分楽しめる可能性があると感じた。当たり前であるが、CD鑑賞とは全く異なる体験で、ここにシネコンサートの凄味がある。これだけ長い全曲演奏は過酷であったと思うが、ミスのない演奏であった。さすがである。前日同様、エンドクレジットでの演奏も秀逸で、ブラボーコールによる喝采で盛り上がり終演した。

 

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会場入り口にて                            会場内記念撮影用アトラクション

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R2D2も参加                             フォースの覚醒公演日では、ベンも参加

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 1日目会場の雰囲気 スクリーン全体を見渡す

 

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二日目 ステージ前方、世界初演、出来立てほやほやのスコアが見える。

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 会場のGEFFENホールは音響効果抜群      演奏会記念プログラム