米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.26 ;2018年2月17日探訪 ディミトリー ティオムキン編 その2 真昼の決闘(全曲)世界初演 Film in Concert: High Noon

Tiomkin:High Noon Film in concert (complete)

Utah Symphony conducted by Gray Covington

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今回は、ティオムキンの”真昼の決闘”全曲のシネコンサートで,米国西部在オーケストラによるコンサートとなる。いくつかの点から、サントラファンとして、さらにテイオムキンファンとしては、注目度大のイベントになる故、探訪に踏み切った。まず第一に、本曲に関しては、当方知る限り、オリジナルサントラ及び小組曲の新録音CDはリリースされていたが、全曲新録音は存在せず、長尺で高音質の音楽は楽しめず、今回初めて、コンサートホールでのオーケストラ生演奏を全曲鑑賞できる機会に恵まれることになる。昨年2017年 プラハ市フィル、ニックレイン指揮による白昼の決闘”DUEL  IN THE SUN" の新録がTADLOWよりリリースされ、ティオムキンによる西部劇音楽が再注目されたことが記憶に新しい。プラハ市フィル、ニックレインのコンビは,これまでもティオムキンの新録作品をいくつか取り上げて取り上げており、親ティオムキン派と言えるだろう。このように、昨年今年とテイオムキンの西部劇音に関するイベントが続くとは、ファンにとってはありがたいことである。ところで、ティオムキンの西部劇作品の新録と言えば、過去にエルマーバーンスタイン指揮ロイヤルフィルによる、ハリウッド作曲家群の新録音シリーズ中の1枚にあった、”OK牧場の決闘”が当方にとって、最初の出会い出であり、この作品から、きわめて強烈なインパクトを受けた記憶がある。ドスの効いたボーカルに、迫力あるティオムキンの西部劇音が格調高き英国のオーケストラから奏でられる事など、当時有り得ない事であったからだ。バーンスタインが尽力して完成させた、この新録音プロジェクトは、サントラファンにとって、極めて重要なイベントであったと確信している。その心意気が、今回の”白昼の決闘”新録音、そして今回の真昼の決闘シネコンサートに継承されている様に感じる。第二点としては、今回のコンサートは、Utah Museum of Fine Arts (UMFA) が企画するGo West! Art of the American Frontier なる,ユタ州内の地域イベントの1つとして、このコンサート(楽曲)が取り上げられた様である。実質の演奏プロディースは ,以前にも言及したJhon Gobermanであることが、当日のプログラム解説で判明した。彼の取り扱う楽曲は、通好みの渋い選曲が多く、大衆性は低いが芸術性は高い作品が多い。ポピュラーな作品で集客に的を絞った、他シネコンサート団体とは、明らかに異なるし、当方好みの作品が多い。したがって、今回のコンサートも極めて特殊で、繰り返し演奏会が計画される可能性は低いと思われる。従って、探訪の価値有りと考えた。第三点は今回の演奏がUtah Symphonyであることである。サントラファンなら1度はこのオーケストラの名前を聞いたことがあるのではないかと思う。今でこそ、サントラの新録音は前述のプラハ市フィルを中心とする、ロシア、東欧勢が主流になっているが、以前は米国内でも頻繁実施されており、ユタ響においては、エルマーバースタインによるジョンウェインの西部劇作品新録音他に頻繁に起用されていたからである。このオーケストラと西部劇音楽は関係が深いのである。曲は異なるが、かつてレコード盤で繰り返し鑑賞したオケの演奏を、コンサートホールで実体験できることは感慨深い。皮肉な事に、プラハ市フィルに”白昼の決闘”で世界初新録音の機会を奪われた、老舗オーケストラが、生コンサートで”真昼の決闘”を世界初演するとは、まるで、プラハ市フィルにリベンジ(決闘?)を打ったようで真に面白い。サントラファンとしては、ユタ響が、どのような演奏するのか興味深い。西部劇の本場、アメリカ西部のオーケストラによる西部劇音楽の生演奏である。さて、演奏である。残念ながら、アカデミーを受賞した有名なテーマソングは、生歌唱では無く、サントラのボーカルが流用されており、オーケストラ伴奏部分のみ生演奏。劇中、効果的に流れるハーモニカはシンセで代用されていた。しかしながら、本編でのオーケストラ演奏を体験すると、その様な事はどうでも良い事が理解できる。特に、決闘開始時間12時に迫る緊迫シーンから、決闘および馬小屋の火災から終幕までの一気呵成の音楽に驚嘆した。この部分のために、探訪しても良いぐらいで、アカデミーを受賞した理由の1つと感じられる。映画もしくはCDで一連の流れは体験済みではあるが、コンサートホールで体験する、ティオムキン節がこれほど効果的であるとは、想像ができなかった。特に、この場面は台詞が無く音楽に全て語らせているので、その効果はコンサートホールでは格別である。ユタ響の演奏にも迫力が感じられ、西部物演奏の本家による面目躍如たる演奏といえるだろう。演奏時間は休憩なしの1時間30分弱と短時間ではあったが、内容の濃い演奏会であった。今回はソルトレークシティー在ユタ響を探訪することが主目的ではあったが、偶然、このコンサート前日、同じくソルトレーク在のバレー団(WEST BALLET) による、プロコフィエフのシンデレラ全曲、バレーコンサート(付属オーケストラによる生演奏)探訪の機会を得る事ができたので、次号で言及する。

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ホール入り口   ホール近くに、ソルトレイク名物テンプルが位置する

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Go West! Art of the American Frontier 宣伝 および ホールの様子

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会場の雰囲気