米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.31 ;2018年4月27日探訪 ジョン ウイリアムズ編その4 John Williams returns


 1 Overture to The Cowboys
 2  Suite from Jane Eyre
 3 The Adventures of Mutt from Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull

 4  A New Beginning from Minority Report
 5 Adventures on Earth from E.T.: The Extra-Terrestrial

1-5 : Chicago Symphony Orchestra conducted by Richard Kaufman

 6 Flight to Neverland from Hook

A Child's Tale: Suite from The BFG

Out to Sea and Shark Cage Fugue from Jaws

With Malice Toward None from Lincoln

10 Three Selections from Star Wars

6-10 : Chicago Symphony Orchestra conducted by John Williams

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今回の探訪はジョンウイリアムズ+シカゴ響による映画音楽の演奏会になる。演奏会名にJohn Williams  returnsと銘打っている様に、このコンビにおける、2013年以来の久しぶりの演奏会のようだ。このコンビではラビニア音楽祭を含め、過去何度かコンサートが実施されている様である。当方も過去2回、2007年(Bassoon Concert 他)および2008年(Memoirs of a Geisha コンサート用組曲初演、他)にジョンウイリアムズ+シカゴ響の演奏会を探訪しており、非常に良いコンサートであった記憶がある。これらの内容は機会を改め、記録に残す。今回のプログラムの前半は、これまでも度々、ウイリアムズ作品を含む、シネコンサートの指揮で精力的な活動をするリチャードカウフマン(カウフマン指揮による、ジョーズのシネコンサートは vol.12参照)後半はウイリアムズ自身の指揮で企画されている。最近の彼のコンサートはこの形式を取る場合が多い。今回は10曲+3曲のアンコール、トータル13曲にも及ぶ。そのうち、3つは組曲形式になっており、1名で全てカバーするのは、かなりきついと思われる。ましてや、曲間のトーク含めて、全て単独で、やり遂げるのは、若い指揮者でも大変体力を要す。ましてや80歳を超える超多忙作曲家である。無理は禁物と考えられる。1作でも傑作を残してほしいと懇願するファンとしては、このプログラム構成に関しては全面的に支持したい。カウフマンは未知との遭遇、ジョーズ等のサントラレコーディングにバイオリン奏者として参画して以来、ウイリアムスと親交を深めた様である。彼はウイリアムズの曲だけでなく、多くのシネコンサートに参画しており、その理由が理解できる。個人的にカウフマンは好感が持てる指揮者と感じている。彼のコンサートを探訪する場合、彼が司会を務める、プリトークを必ず、聞くのであるが、内容が興味深いだけでなく、ユーモアのセンスがあり、聞いていて楽しい、エンターテイナー的キャラクターを有している。今回のプリトークでは、シカゴ響のピッコロ、およびトランペット奏者をゲストスピーカーとして招き、映画音楽とクラシカルミュージックの違いについて論じていた。とくに面白かったのは、観客から、作曲家による指揮とそれ以外の者が指揮する違いはなにか?との質問が飛び出し、すかさずカウフマンが俺の事か?と得意のジョークで返す場面があった。何れもサントラファンとしても興味深い質問である。さて演奏内容である。今回はオーケストラ後方、指揮台の真正面に陣取った。ウイリアムズの顔の表情、指揮表現を至近距離で詳細を細かく観察し脳裏に焼き付けることができた。2007,2008年演奏会時はオーケストラ正面最前列に位置するところに居たが、指揮者の後方から観察するより、今回の方が圧倒的に良い、指揮時の体の動き、顔の表情それに呼応して一糸乱れぬシカゴ響の反応を実感できる。その一体感は半端ではない。さらに、ゴールドスミス楽曲のコンサート探訪時(vol.24参照)も同位置から鑑賞し、感じた事であるが、目前で炸裂するパーカッション群の迫力には圧倒される。やはりウイリアムズの指揮は、ボストンポップスでの長い経験からか、堂々とし、動きは激しくないが、シカゴ響を完全に操り、燻し銀の渋さを感じる。各演奏終了後のトーク時、息が切れて少し辛そうに見えたが、健康的で不安要素はなかった。最近何かの記事で、ウイリアムズの談話として、すこぶる健康で、関節炎1つ無いのでピアノでの作曲には全く支障がない旨が記載されていた記憶があるが、それを裏付けできる印象である。演奏曲に関しては、これまでの演奏会で、演奏済みの定番曲が目立つが、特筆すべきは、映画Lincolnからの引用曲、With Malice Toward None である。トランペットの独奏がホール内に響き渡り、すばらしい演奏であった。当該サントラは、シカゴ響により、今回の演奏会が実施された、シカゴ響の本拠地オーケストラホールで録音されており、是非ここで鑑賞したいと考えていた。そこに自分が今居ると考えると、感慨深いものがある。ウイリアムズ自身の解説で、なぜシカゴ響での録音に至ったかのコメントとして、何度かシカゴ響を指揮する中で、世界でも最高水準を有するオケの1つである、シカゴ響での自作新作録音を考え始めたと、シカゴ響を賞賛するコメントも有り、蜜月状態である事が感じ取れた。シカゴ響のような名門オーケストラがウイリアムズ等の映画音楽を前向きに演奏してくれるのはサントラファンとして真にありがたい事である。最期のThree Selections from Star Warsのうち1曲は最新作The last Jedi からThe Rebellion in Reborn が演奏された、まだ演奏会での演奏機会が少ないので、ありがたい選曲である。今後シネコンサートで全曲演奏を期待したい。さらにThe Force Awakens からはRey's Themeが選定されていた。この曲は情緒的かつ印象的な楽曲でヒロインであるReyをうまく表現しているが、意外にも、ウイリアムズ自身がトークの中で、Rey(Daisy Ridley演ずる)のファンである事を自白していたので、当該曲にも特別な思い入れがあるのかもしれない。最後はNew hope からエンドタイトルで盛り上がり、3回ものアンコール後大喝采の中終演した。

 

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入り口にて      シカゴ響によるウイリアムズ作品集CDも販売されていた