米国オーケストラによる 映画音楽 近現代曲 コンサート探訪記

サントラファンが書く、米国オーケストラによる、映画音楽、近現代音楽演奏会探訪記録および所感。

VOL.34 ;2018年6月23日探訪 ウォルター ピストン編 Symphony No. 6

Walter Piston:   Symphony No. 6 

Other

Grant Park Orchestra conducted by Carlos Kalmar

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今回は、米国作曲家ウォルターピストンによる交響曲6番が主目的のコンサートの探訪になる。当方は、米国の近現代の作曲家作品群が好みで(ハリウッドの映画音楽作曲家群をそれに含めるのが当方持論である)、その存在を知る限り、作品の録音を探し回り、収集してきた。自分のスタンスは、映画音楽、純音楽の垣根を引くのでなく、オーケストラによる芸術として、理屈でなく感性に訴える音楽を、探し求めて来た次第である。ピストンに関しては、録音が多くの残されており、その作品を鑑賞できる機会は多い方であるかと思う。当方のピストン作品との、初めての出会いは、ルイビル響によるピストン作品集(First edition シリーズと銘打ち、Albany musicからLPがリリースされていた)である。個人的見解として、一般に良く言及される新古典主義的作風(ストラビンスキーがこの傾向に陥った後、斬新さを失ったため、自分的には、この作風は好まない)感じられなかった。また、 単に明るいだけな安直な曲調とは一線を画する、重厚かつ緻密な音楽構成は、一見、暗く、なじみ難い第一印象があるが(しかしながら絶妙のタイミングで軽快なリズムが織り込まれる、技巧がすばらしく感動を覚える)一度よく聞き込むと、ずるずる引き込まれる魅力を有しており、いつの間にか虜になっていた。この過程は自分の経験からは、ショスタコビッチの音楽に傾倒する過程に、類似している様である。ショスタコ同様に、入手できる作品を手当たり次第に収集するにいたっている。以後、米国の作曲家の中でも、好みの作曲家になっている。ところが残念なことに、演奏会で生演奏を経験できる機会は極めて少ない。演奏会で指揮者Carlos Kalmar自身がコメントで述べていた事であるが、ピストンの作品について、20年前は比較的頻繁に演奏されていたが、最近は少ないとの事である。したがって、米国の作曲家といえばバーンスタインかコープランドしか上がってこない米国外の演奏会では、ピストンの作品が、演奏される事は、ほぼゼロと考えられる。今回探訪のシカゴ、グラントパーク音楽祭では、そのピストンの交響曲6番を取り上げており、探訪の価値は十分あると判断した。演奏はGrant Park Orchestra、指揮はCarlos Kalmar になる。この組み合わせに関しては、 vol.20   でも言及した、米国の作曲家Robert Kurka のSymphony No. 2や American Works for Organ and OrchestraでBarberやPistonのオルガン付き管弦楽をCedille   からリリースしており(いずれの作品も愛聴盤となっている。)これらの事から、指揮者Carlos Kalmarは、かなり米国近現代作曲家に関心があると考えられる。彼は、これまでもグラントパーク音楽祭で、Chadwick、Harris、Piston、Diamond、Antheil等の米人現代音楽作品を取り上げており、当方好みの選曲が多く、ありがたい存在となっている。さて演奏である。グラントパーク音楽祭はラビニア音楽祭と並んでシカゴで注目の音楽祭で、ラビニア音楽祭会場は郊外に位置していることに対して、グラントパークはシカゴ響本拠地コンサートホールに近いダウンタウンの公園で実施され交通至便の上、環境は良い。野外コンサートで音響効果は期待できないが、好みのピストン交響曲が生演奏で楽しめる貴重な機会である故、リラックスして鑑賞を決込んだ。1940年代スタートアップされたGrant Park Orchestraの演奏レベルは高く、前述のごとく米国近現代作品が得意の様である。自分好みの作曲家作品しかも演奏機会の少ない、隠れた米国作曲家の逸品を米国のオーケストラで楽しめる、至福の時間となった。当日は好天に恵まれ、芝生の上でワイン片手に夕食を楽しみながら鑑賞している家族が目立った。このような、すばらしいコンサートが、なんと、無料開放(後方の一般席および芝生のみ)されているとは、本当にすばらしい。30分たらずの作品であるが、ピストン交響曲6番は著名な指揮者がこぞって録音しており、彼の代表作に祭り上げられている感がある。たしかにピストンの特徴を楽しめる作品ではあるが、自分的にはピューリッツァー賞に輝いた7番や8番の方が、より起伏に富んだ技巧を楽しめる為、より好みではある。今後の演奏会に期待したい。

 

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会場の雰囲気:Grant park 内に有るJay Pritzker Pavilionの様子